【レポート】養成講座day4 - プログラムとして“授業”に落とし込む。学ぶことが面白いと思えるプログラムの創り方

2023.08.27(日) 第2期 教育コーディネーター養成講座の4日目を開催いたしました。

・第2期 募集要項は、こちらから。
・1日目 養成講座の様子は、こちらから。
・2日目 養成講座の様子は、こちらから。
・3日目 養成講座の様子は、こちらから。

4日目のテーマは、【学ぶことが面白いと思えるプログラムの創り方】

今回のゲストはNPO法人じぶん未来クラブを仲間とともに立ち上げ、現在も理事として活動をされている教育コーディネーターの平賀恵美子さんです。

東京都の公立高校のコーディネーター経験や、企業研修の一環としてキャリア教育のプログラムづくりに取り組んできた知見を、伝えていただきました。

プログラムの実例と、それらを創る上で大切なポイント

学校側では「キャリア教育」、企業側では「社員研修」として、それぞれ掛け合わせながらプログラムの実例を教えていただきました。

たとえば、働く大人の全力授業「シゴトのチカラ」では、以下の構造でプログラム設計を行っています。

【学校側】キャリア教育
・働くこと・未来への前向きな気持ちを届ける。
・仕事も高校生活も大切なことは変わらないことを伝える。
  ×
【企業側】社員研修
・自身の仕事のたな卸し・仕事の意義の再確認を行う。(自身の強み・価値観の再認識)
・コミュニケーションへの意識の向上を行う。(利害関係のない第3者に仕事の意義をプレゼンテーション)

そのような知見をもとに、東京都の公立高校「総合的な学習の時間(現在:総合的な探究の時間)」で取り組んだ高校1年生・2年生の2年間のプログラムについて紹介いただきました。

これらのプログラム設計を行う上では、次のような言葉を高校生から言われたことが根底にあるようでした。

・「人生設計って言うけど、すごい先なんてわからない。」
・「以前、大きな会社の社長がきたけど、意味がわかんなかった。」
・「こういう(講演会だけの)時間はよく眠れる。」

高校生からの実直な意見や状況を捉えながら、より学べるプログラムにする。そこを常に意識して設計することで、最近では次のような経験になることを、平賀さんは意識しているとのことでした。

[ムチャブリ矢面に立つ経験]
①人生への当事者意識
 「自分」を面白くするのは「自分次第」
②行動から学ぶ
 自ら動いて、新しい刺激を受け
さらに変わる機会を作る
③協働を学ぶ
 仲間と一緒に、協働するおもしろさを体感する。

学ぶことが面白いと思えるプログラムづくり

ここからは、養成講座最終日の肝である受講生自身が行う”学びのプログラムづくり”。

架空の設定として、「とある小学校から依頼が来た時に、どうコーディネーターとしてプログラムを設計するか」をグループごとに考えて発表します。これまで学んできた4日間の学びを最大限に活かします。

・先生からのニーズ
・子どもたちの状態
・協力が決まっているゲストにある地域社会の資源

それらを整理しながら、コーディネーターとして、どこに狙いを設定して、プログラムを設計するのか を考えてまとめています。

・「これで小学生に伝わるかな?」
・「ゲストが農業の仕事ならば、最初に野菜を食べてみるのはどうか?」
・「なんだか、これだと狙いからズレちゃっているもしれない・・・?」

何度も何度も、自分に問い、グループの仲間と問いを重ねながら考えます。

そして、発表の中では、様々な問い・フィードバックをぶつけていきながら、実際にどこが改善すべきポイントなのかを明確にしていました。

この日は、エントリーコースの最終日であったため、4日間全体の振り返りも行いました。養成講座に参加する前と現在の自分の変化、自分自身が得たいことが得られたかどうか、今後の見通しについて1人ひとりが振り返りました。

全4日間のエントリーコースが、終了。受講生のみなさんは、集合研修4日間とEラーニングによって多くのことを学び、日々の実践につなげていってほしいと思います。

この後、実践コースに進む受講生も、一旦エントリーコースで終える受講生もいらっしゃいますが、第2期生がいろんなところでご活躍されることを心より祈っております!

 

【養成講座 day4の振り返り】
●子どもが楽しいと感じるプログラムを創る中で、外部人材の使い方や授業で行うワーク等を一貫した流れで設定する過程は、チームで複数人で考えたとしてもかなり困難なことであると痛感した。実際に作ってみて、対象が小学校だとすると適切な学びになるかどうかを適宜確認しなければならないことが大変であると感じた。特に、ワーク自体の難易度設定が性善説に囚われずに行うべきであったり、私達(キャリア教育コーディネーター側)が意図している学びを完璧に子どもが得ることが出来るかというと不透明であったりと授業創りの「壁」を改めて感じることが出来た。ただ、その壁は辛いものではなく、私にとってはむしろ子どもにどうアプローチしてあげようかと考えを改めるきっかけになっていると考えており、よりコーディネートが楽しみになると考えている。また、複数人に授業を形作っていくことは、かなり力強いことであると再確認し、個人で色々なものを完成させるのではなく、様々な背景の人の意見を織り交ぜた授業を子どもに提供するべきなのではないかと考えている。
●個人的に1番楽しみにしていた講座でした。そして、1番頭を使った辛楽しい時間でした。プログラムづくりの基本的な部分から平賀さんが意識されていることを、グループあるいは個人で対話しながら考えていくのはワークショップデザインの点でも参考になりました。学びとしては、ゲスト講師をどう活かすのか?その人である理由は何なのか?を実際に授業を作っていく過程や平賀さんからのフィードバックで考えることができたことです。講師の方の人生から自分自身が共感した「これだ!」をどう授業に落とし込んでいくのかを課題であるプログラム設計シートで考え直したいと思います。発見としては、今回に限らずですが4回の講座を通して久々に多くの他者からのほぼ同時にフィードバックを受けました。その中で自分の癖やなんとなく見つけることができたと思います。また、普段は中高生にフィードバックをする側なのでフィードバックされる側を経験できたのは良かったです。どんな言葉なら伝わるのか?どのポイントを聞くと気づきがあるのか?といった部分をフィードバックを受けてみて改めて見直すことができました。今後は、講師の魅力をどう伝えるのか?やもやもやを言語化することを意識してコーディネーターとしての経験を積んでいこうと思います。
●ゲストを決めて丸投げ、ではダメ。なぜその人なのか、その人に何を語ってもらいたいのか、そして、子どもたちに何と言って欲しいのかまで考える。
●ヒアリングした中で、自分が「共感・感動」したことから考える。””自分””をおろそかにすると伝わらない。
●働いたことのない子どもとの共感の接点探し。
●プログラムづくりをグループでやってみて、平賀さん他に様々ご指摘いただくという経験。普段、グループワークをすることはあっても、それを添削?される機会はほぼないので、打たれ弱い方だが、今回は、不思議と素直に指摘を聞けたというか、一緒に考える仲間がいたおかげもあってか、楽しい時間だった。時間切れの尻切れだったけれど・・・。
●届けたいことは沢山あるが、盛り込み過ぎは却って学びを妨げる。気づきにつなげたいこと1つにフォーカスし学習者目線で構成することが大切。
●伝えたいことはひとつに絞り、プログラムを考える上で一番大事にする
●ゲストスピーカーがいる時は、こちらから最重要点を伝えてプレゼンを作ってもらうだけでなく、一緒に見ながらブラッシュアップする(スケジュールに余裕を持たせる)
●プログラムを作っていくこと、考えること、何を重きを置くのかなど、大変勉強になりました。平賀さんの話を聞いていて、考えていくことがとても大事に感じましたし、私は実例を経験したことがないので質問にもなりませんが、まずは自分で考えを深める時期に自分が立っているような気がします。とても楽しく学ぶことができました。学んだこととしては、「欲張りすぎない」「大事なのは切り口」「自分が何を感じたか?を大切に」の3つである。「欲張りすぎない」は言葉のとおりであり、1回の機会に1つのことを徹底して伝えるということである。コーディネーターとしては、様々な気づきを与えたくなってしまったり、先生方の声をすべて拾おうとしてしまったりするが、そうではなく、1つに絞って何を考えてほしいか、受け取ってほしいかと狙いすますことが重要と感じた。そうでないと、地域の人が持つ資源をどう生かすかがぼやけてしまう。「大事なのは、切り口」については、外部の教育資源をどう切り取るかによって、資源の活かし方が大きく変わるということだ。欲張りすぎないと並列しているようにも思うが、人やモノなどの資源について、どの角度で切り取るか、どんなテーマでストーリーを紡ぐかで活かし方が大きく変わる。そこに意図を持てなければ、せっかくの教育資源もふんわりしたものになってしまうと感じた。「自分が何を感じたか?を大切に」は上記の狙いや切り口を考える際に、大事になるのは自分が何を感じたのか?ということ。コーディネーターとして生徒・学校・資源・自分の4つの重なりを考える際に、それぞれの領域から求められることの間を取ることは前提として重要だ。その際に、様々な要望や狙いが見え隠れする中で、教育資源を無理にその要望に合わせるのではなく、教育資源に対して自分が何を感じたのか・どのような感情や思考を抱いたのかということを切り口に要望や狙いに合わせていくということが重要なのではないかと思う。資源自体を変える、のではなく、資源の捉え方を探す、ということが重要である。それを行う上ではコーディネーター自身が教育資源に対して何を感じたのか?というような感覚や直感などをできるだけフラットに持ち、いろんな捉え方をコーディネーター自身ができることが大事なのではないかと考えた。そうした視点の持ち方を自分はあまりできていないというか、狙いありきでいろんなものを見てしまっているように思い、見過ごしていることも多いのではないかと考えた。
●同じ素材・人材を手にしてもコーディネータによって活用法が異なることをワークを通じて実感した。また、一人の視野の狭さや癖に気付かされた。
●当日のプログラム作成において、何を大切にすべきか、また具体的に何をすべきかが分かり大変勉強になりました。今まで数多く自身が講師として講演会を行ってきましたが、講話の内容やプログラムを組み立てるかが大変勉強になりました。

【本件についてのお問い合わせ】

本件についてのお問い合わせは、こちらよりお問い合わせください。