【レポート】養成講座day1-どうしてキャリア教育・探究学習?教育コーディネーターとしての基本姿勢。

2023.7.9(日) 第2期 教育コーディネーター養成講座が開講いたしました。

募集要項は、こちらから。

今年は、群馬県内をはじめ県外(埼玉、神奈川、新潟、沖縄)、また現役教員、企業経営者、コーディネーター、学生など様々なバックグラウンドの方々に参加いただいています。

まずは、受講生同士で互いの受講動機を共有する「探究コミュニティづくり」。自己紹介と、互いの目標を共有しながら、学び合う間柄を育みます。

その後、まずは「どうしてキャリア教育/探究学習なのか?」に関して、公教育の変遷や制度の仕組みを確認し、社会の変化から生まれたキャリア教育/探究学習の必要性について学びました。

養成講座では、「対面」と「Eラーニング」の2つで学ぶことが特徴であり、受講生のみなさんは事前に「Eラーニング」で基本的な知識・情報を得ています。オリジナルテキストも活用しながら「自分が受けた教育の中で『キャリア教育』に該当するものは?」等と、自身の体験と教育の変遷を照らし合わせてもいきます。

その後、教育コーディネーターとして、子どもたち・教員・地域・企業等の様々な人々とよりよく前に進めていくためのスキルとして『ファシリテーションスキル』を獲得する特別セッションを行いました。特別セッションは、新潟県で「教育ファシリテーション」を広めるNPO法人みらいずworks角野さんに講師を務めていただきました。

1日目の最後には、全体で振り返り。一人ひとりが自らの関心ごと・課題意識を持ち寄って、教育コーディネーターとして実現したいことの振り返りを行いました。普段何気なく自らが使う表現によっても、様々な価値観があることを知り、『では、どう前に進める?』と取り組んでいくコーディネーターとしての基本となる姿勢を確認していきました。

2日目となる次回は、学校の立場、企業の立場から、それぞれキャリア教育/探究学習を推進してきた方々から学んでいきます。

【養成講座 day1の振り返り】

●①学びの主導権は子供たちにあり、私たち大人のあらゆる経験は教育資源化し得る素材である、②キャリア教育≠職業教育、③組織の成功循環モデルが教育現場にも当てはまるということへの気づき。

●「個別の経験」をつくるために、関係者間の目指しどころを決めるのが、キャリア教育コーディネーターの最も重要で、かつ、最も難しい役回りであるということ。個別の経験を作るためには、できる限り本人が何かしらの目的(なくても良いが)に基づき行動を起こして学ぶというプロセスが重要になると考える。そのためには、生徒がアウトプットを行い、何かしらのフィードバックが返ってくる場の用意が必要だが、学校と地域の間にその場を生み出すことは両者の目的や懸念がすれ違いやすく難しい。そのために可視化やファシリテーションといった言葉をすり合わせていき、合意が取れる部分を作り上げていく必要があることが分かった。今の自分はそこに向き合い切れずに、相手を決めつけてしまったり、調整から逃げてしまっている部分もあるなと振り返って感じた。

●キャリア教育と職業教育の決定的な違いに関して学び、歴史的背景からキャリア教育が必要となった経緯を理解することでこれから求められる学びについて再考することが出来た。特に、インターンシップを推進する上で問題になってくる学校側と企業側のコーディネートを考えるのが困難で、「共通目標」をいかに早く見つけ、アプローチしていくことが大切であると感じた。また、キャリア教育コーディネーターの役割や必要性を新ためて学習することに加え、実際に行われている事例を見てみることで、個人的に非常に漠然としたイメージの大部分が固まったと感じている。そこから、本質に迫ることでキャリア教育コーディネーターの立場を理解し、これからの学習に役立てていきたいと考えている。

●キャリア教育の歴史や学習指導要領の変遷を把握することで、キャリア教育が「なぜ」必要なのかを理解することができた。教育と社会は鏡であると感じた。社会に求められることを教育で身につけていくこともあるし、教育で伸びてきたことを社会で発揮することもあるのではと思った。教育に携わることは同時に社会への理解や現代のトレンドを把握することも求められていると思う。教育コーディネーターとして、社会に関しても学んでいくことの必要性があると思う。

●生徒の学びや成長を第一に、先生・地域・生徒・自分のこだわりの重なりを見つける。一人一人と丁寧にコミュニケーションを取り、信頼を得る。

●価値観の違いがとても面白かった。価値観の違い自体も面白いが、誰にとっての成長か、挫折とはどの程度のものか、など、言葉の捉え方も人それぞれだった。

●教育コーディネーターとして、学校との接続以外に、企業人や社会との接続の部分の役割を知ることができました。ファシリテーション技術の部分では、教育コーディネーターとしての役割に留まらず、校内の会議などでも活かせる視点を学ぶことができました。特に図解化の部分は苦手な領域ですが、できたら絶対面白そう!ということで、頑張りたいと思いました。

●普段、学校現場を回っている中で見えないことも多分にあり、多くの気づきを得ることが出来ました。まず大きかったのは、そもそもキャリア教育とは何ぞやということです。キャリア教育とは、一人一人の社会的・職業的自立を目的としていることは新たな学びとなりましたが、果たしてここを理解して指導をしている学校の先生がどれくらいいるのかは疑問に思いました。ここをクリアにして現場の先生方に共通意識を持てると、より学校現場のキャリア教育が進むだろうし、各学校におけるキャリア教育の意義・目的も明確にすべきなのだろうなと思いました。またCDの役割と立場も新たな学びとなりました。生徒の学びのための仕事だと思いますが、少し観点を変えると、今までこれらを行っていた先生方に変わって業務を行うことは先生方の働き方改革にも少し貢献できるのかなとも感じました。学校を回っていると必ず働き方改革という言葉が出てくるので、事前準備はCDと担当先生、事後もなるべく現場の先生に負担をかけないキャリア教育の実現を考えたいと思いました。

●今年創立150周年を迎えたわ母校は、“学校教育”の歴史とともにある学校に通っていたんだと実感。これから子どもたちが通うにあたり、知識を深めた上で、子どもたちが様々な学びの機会を得られるように、自分自身、学校と関わっていきたいと思った。

●キャリア教育について語られ始められた頃が、まさに私が学校教育から離れた頃であるがゆえに、現状の”学校教育”のイメージが持ちにくかったことに気づけた。

●各々の立場に寄り過ぎるのではなく、「重なり」のよいところを探していく。生徒が他者に教えていく経験の大切さ。

●自身の受けたキャリア教育を思い出すワークが案外難しかったです。学びに向かう力や思考力などはどのように身に付いたかを意識してこなかったからだと思いました。具体的にどうなりたいかの目標を設定して振り返ることの重要性に感銘を受けました。目標設定は少し先の未来への期待に置いて、関係者の調整を進めていこうと思いました。

●それぞれの存在・それぞれの考えや意見は、全体の一部。全体は、それぞれの存在・それぞれの考えや意見の集合体。

●合意形成は一筋縄ではいかないこと。相互に背景を探ること、受け止めることは大事だとわかってはいるが、受け取ったうえで共通の認識を作ることは決して短時間ではできないと感じた。また、ファシリテーターの視点として、「ファシリテートされる側」に立つことも重要かもしれないと感じた。ファシリテーションされている場に参加する経験が増えると、される側も、ファシリテートされることにも慣れてきたり、積極的に場に参加することがしやすくなる。その場合、場が進みやすくなることは想定されるが、その結果としてファシリテートの原則やファシリテートすることに意識が向きすぎて、その場にいる人がどんな感情なのか、今何を考えているのか等を忘れてしまう可能性もあるかもしれない、と思った。ファシリテーターとしては場の目的を意識しつつ、場の目的を忘れてフラットに見てみる視点を意識的に持つことも必要になることがあるかもしれないと感じた。(相当に難しいと思いつつ…)非常にワークの多いセッションになっていたが、個人的にこちらの方が様々な人と話す機会が自然に生まれ、自分には無い視点を取り入れられるきっかけになった。特に、円卓で行った「価値ランキング」は印象に強く残っている。これは、四人の全く違う背景で集まった時に各ランキングの決定理由がいずれも説得力のあるものがあり、意見を擦り合わせて短時間で一つのランキングにする作業は、お互いが根拠をしっかりと持って発信する必要性があり面白かったためである。また、ファシリテーションの考え方は様々なことに通じるのではないかと考え、自分の団体でも定例会やアイデアの選定回等で何かしらの方法を実際に行ってみたいと感じた。

●同じ言葉でも、人によって、メンバーによって、それぞれのメンバーのバックグラウンドによって、話し合いの目的によって、“言葉”が持つ意味や定義は変化することを学んだ。『知識』という言葉は、先生方にとっては、興味関心のあることを調べたことを指すかもしれない。地域の人によっては、勉強で身につけたことを指すかもしれない。もしくは、一定の職業に関する専門的なことかもしれない。話し合いや会議を進める際は、言葉の意味の差異をなるべく統一していく、見直していくこと、もっと言えばみんなの共通認識を創ることが前提で必要であることを学び、気づいた。

●前提の確認、言葉の認識の違いを擦り合わせることが大切、そのためにその人の考えの理由や経験をきく。どんな場でも話し合いの可視化をするのが大切。自分の考えを配慮しながらオープンに伝えるのが、自分は苦手だと信じてしまっているので、それを脱却できるよう、努力していきたいです、生徒の学びは第一に、自分の自信をまずはつけて現場に挑みます。

●ファシリテーションとは、スキルや知識だけでなく考え方だ、という点が心に残った”ファシリテーターというと、参加者がうまく協議等を進められるよう行動を伝えていくイメージが強かったです。特に自分の場合は、生徒相手に探究の時間でティーチングからファシリテーションへ、ということでその色が強かったかもしれません。今回のセッションを受けて、ファシリテーターの存在、見えないところでの準備が、直接的に参加者を動かすのではなく、自然と参加者の議論が前に進んでいく、そのような技術が大切なのだと実感しました!特に聴く技術と書く技術。ここが大切で、自分も伸ばしたいと感じました。

●今までファシリについてしっかりと学んだことが無かったので、非常に勉強になりました。

●ファシリはただ場を回すだけではなく、グループ活動を促進するための考え方や技術であることは、確かにそうだなと思いました。また見える化も非常に重要な観点だと思いました。

●安心安全の場づくりができてこそお互いが本音をきちんと伝えあう関係になる。このことが最近の私を少し変えてきたと思うので、今後もより意識していきたい。

●相手を打ち負かす議論じゃなく、納得感を得られるように対話していくことで生まれるものがある。FGにより出てきた意見を可視化することにより新たな意見に繋がる。オープンな場でインタビュー内容を書くことで心理的安全性が確保される。「価値観ランキング」では、如何に短時間で心を開く/開いてもらう場を作るのかが肝だと感じました。言葉の定義違いでモヤモヤして前進しない対話に、例えを出してそれぞれの思いを確認できるファシリテーションがあれば良いと思いました。今は自分が議論の土台になる案を用いて相手と調整していますが、経験を積んで、オープンマインドで臨んでたくさんのネタをその場で出せるようになりたいと思いました。

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