【レポート】養成講座day2-学校と社会がつながると、子どもたちの成長や学びは豊かになる?

2023.7.30(日) 第2期 教育コーディネーター養成講座の2日目を開催いたしました。

・第2期 募集要項は、こちらから。
・1日目 養成講座の様子は、こちらから。

前回の振り返りを行いながら、早速、本題へ。2日目のテーマは、【児童・生徒をみんなで支えるために、学校と社会がつながる】。子どもたちが幸せに歩んでいく資質・能力・知識を身に付けていき、発揮していくために、周りの人たちはどう手を組んで、協働していけばよいのでしょうか?2日目となる今回は、学校の立場、企業の立場から、それぞれキャリア教育/探究学習を推進してきた方々から学んでいきます。

まずは、午前のセッション「コーディネーターの必要性」について、様々な角度から考え、意義付けていく時間です。

いくつかの問いを立てて、「コーディネートの必要性」について理解を深めていきます。状況によっては、コーディネーターの役割の比重が変化したり、求められることも変わっていきます。時として、コーディネートして関わらない選択をしてもよい。NPO DNAは、先生たちや、子どもたちの状況によって、柔軟に判断していくことが必要だと考えています。

「探究的な学びの実践と地域社会との協働 –学校教育の現場から。」

その後は、特別セッション①。

ゲスト 松井孝夫さんをお招きして「探究的な学びの実践と地域社会との協働 –学校教育の現場から。」と題してご講演をいただきました。松井さんは、30年近く群馬の高校教員として働く中で、いち早く「探究的な学び」やキャリア教育の意義を感じ、実践をされ、本講座でも第1期からお世話になっています。高等学校学習指導要領解説(総合的な学習の時間編、総合的な探究の時間編)作成に協力者として関わってきたことも踏まえて、学校の目線から、意義を考えていく時間となりました。

【松井先生ご自身が協働に至った経緯】
• 自分に力(専門性など)が足りないから 
 → いろいろな人の力を借りることに
• 子どもたちに本物から学んでほしいから
 → 教科書だけで学ぶのではない 
• 子どもたちの意欲を喚起したいから
 → 学習意欲・活動意欲をもつきっかけに 
• 子どもたちが目標(ビジョン)を持てるため
 → 教員・親・友達以外の「こうなれるかもしれない」と思える
• 子どもたちがいろいろな人から前向きな反応をもらえる
 → それらが子どもたちの達成感・自己肯定感につながる
• 子どもたちが視野(可能性)を広げられるから
 → 普段は気づきづらいことに気付けたり、自分の可能性を感じられる
• 実社会との関わりがわかるから
 → 授業で学んでいることと実社会との接続を感じられる
• 楽しいから
 → 単純に(大人も)楽しい

【松井先生ご自身が協働に至った相手】
・産業界との連携:ライフプランニング
 青年会議所、国際ソロプチミスト
•地域社会との連携:地域活性化プロジェクト
 地域づくり協議会、行政機関
•多様な他者との連携:環境専門科目 
 研究機関(大学等)、自然保護団体、ボランティア
 小学校・中学校・高等学校

「地域・企業のもつ教育資源と学校をつなぐプログラムづくり」

続いて、特別セッション②。

ゲスト 市野敬介さんから「地域・企業のもつ教育資源と学校をつなぐプログラムづくり」と題して、あらゆる資源を学びの教材にすることを学びました。

ワークでは「社会に開かれた授業をつくる(学校の教科・科目の授業にどう社会の資源を活用できるか?)」について考えて、授業の骨格をつくってみました。「小学4年生 社会」「小学5年生 理科」「小学5年生 家庭科」「小学6年生 算数」にグループごとに分かれて、単元表などを読み込んだうえで、授業づくり。

たくさんのアイディアが思いつき、普段、先生たちが行っている授業と社会の接続の意味を深める時間となりました。子どもたちにとっても、身近なところと授業で学んでいることのつながりを感じられると、より一層、学ぶ意欲が育まれる可能性があります。

最後は、一人ひとりが気付いたことを振り返り、2日目を終了いたしました。

【養成講座 day2の振り返り】

●多くのインプットを得られたが、個人的には教員と協働する際のポイントの再整理になった。個人的にポイントだと考えたのは「教員が持つ児童生徒への期待を引き出すこと」、「すでに他教科・他教育活動で行っているで満たせること・満たせていないことは何かを探すこと」、「時に非マジメな視点を持ち、柔軟に教育資源化できることを探してくること」の3点だ。来る前に事前学習をしていた際に、学習指導要領で求められていることがあまりに高度化しており、子どもにも教員にも求めるものが大きすぎるのでは?どうすればよいのか?と感じていたが、受講してみて上記3つで整理できそうだと考えた。今日のインプットを聞く中で、学習指導要領で求める内容は理想であり、「達成すること」ももちろん大事だが、それ以上に「その方向で取り組んでみること」が重要だと気付いた。だからこそ、理想的な目標が並ぶ中で「自校生徒でも期待をかけられる点はどこか」をすり合わせ、そこに対してすべてを満たす教育資源を探そうとするのではなく、「すでに他教科・他教育活動で行っていることで何が満たされており、何が満たされていないのか」、それを踏まえて「時に非マジメな視点を持ち、広い視点で教育資源化できることはないかを探してみる」ことがコーディネートしていくうえで大切なのではないかと感じた。自分の今のおかれている環境は、正直、教員が生徒をあきらめてしまっている様子も見受けられる。自分もそれに引っ張られ…というか、そういう教員の姿に「何を言っても無駄かも」と思ってしまうことが多いのだが、そんな中でも「ここならできる」「ここならまだ伸ばせるかもしれない」と教員が期待をかけられる領域はどこなのかを探したいと思った。決して簡単なことではないけど、頑張ってみようと思う。

●教育コーディネーターになることが自分がやりたいことなのかをあらためて問いかける機会になった。

●一定の意図を持つことは重要だが、生徒に信頼して任せてみる・ゆだねてみるということ。提供者側に立つとどうしてもプログラムに対する効果を気にして焦ってしまうこともあるが、本物に触れる機会を作り続ければどこかでその生徒が「面白い」と思えることに出会える可能性はある。狙いを持つことは大事だが、狙いに縛られることは違うのだろうと思った。その意味では、生徒のいろんな場面での顔を見ておく、教員に見つけてもらう、ということも大切かもしれない。一つの場面だけで成果を負いすぎないとある意味気持ちを強く持つ場面も必要なのかもしれないと感じた。

●自分たちの会社を知る機会を子どもや地域に対して作ることが、将来の会社の発展につながる可能性を作る!

●子どもたちにとって、誰かの”生き様に触れる”ことが意義を持つなら、自分もうちのスタッフも資源として何かしらの役に立てるのだろう。

●『課題解決を目標にせずに、探究をまわすとどんな成長ができるのかを目標にする。(チームの成熟度や貢献度など)』という言葉がとても印象的でした。学校やコミュニティごとに伸ばしたい資質・能力や目標を関係者間で予め共通認識を持つことの重要性を再確認できました。

●「面白い!」とどれだけコーディネーターがアンテナを張れるかが大事だと思った。柔軟な視点を持つ、という言葉にするととても簡単だが、とても難しいことが求められると強く思った。そういう意味でまじめに勉強することも必要だけど、時にはあまりまじめすぎずに考える視点をもつことも必要なのだろうと感じた。あとは、いろんな事例を見ること。特に校種かぎらず見ていくことで自分の視野が広がることは大きそうだと思う。

●特別セッション②までにインプットしてきたことを上手に繋げて最後のワークができたと思います。授業にどう企業を絡めていくのかを考えることができた良いワークでした。また、ファシリテーターのスキルとして参加者同士で勝手に説明し合う環境をつくっていけるようにしたいと思いました。

●キャリア教育・探究学習の必要性を論理的に解説してもらえたのがありがたかったです。現場で関わっていて必要なのは体感として理解していたが、「なぜ必要なのか?」を自分なりに整理して説明できるようにしていきたいと思います。 『課題解決を目標にせずに、探究をまわすとどんな成長ができるのかを目標にする。(チームの成熟度や貢献度など)』という言葉がとても印象的でした。学校やコミュニティごとに伸ばしたい資質・能力や目標を関係者間で予め共通認識を持つことの重要性を再確認できました。 特別セッション②までにインプットしてきたことを上手に繋げて最後のワークができたと思います。授業にどう企業を絡めていくのかを考えることができた良いワークでした。また、ファシリテーターのスキルとして参加者同士で勝手に説明し合う環境をつくっていけるようにしたいと思いました。

●本物やプロの視点を教育に入れると、大人も子どももモチベーションにつながる” “・生徒のモチベーションを高めるには、憧れの人のようなビジョン、本物との出会いから育まれる主体性、成長の実感が大切。

●生徒にまかせて、普段との違いや1人ひとりの変化を追う(先生にしかできない!)

●高校生が作った和紙で小学生の卒業証書をつくる事例のように、地域全体を巻き込んだ全体性・循環を生み出したい。

●自分の軸を立て、広い視点で捉えていきたい。立場の違いが、さまざまな違いを生むことに改めて気付かされた。 児童生徒と直に触れ合ってきたからこその貴重な話を聞けた時間でした。実際に取り組みを経験してみたいと思えましたし、言葉に説得力を感じました。自分ならどのように行動するか、ヒントをいただけたので行動を意識していきたいです。 さまざまなことにヒントを見出し、考える癖を非常に感じました。楽しく考え、結びつけていく。自分なら何を結びつけられるか。まずはナゼを大切に行動したいです。

●キャリア教育コーディネーターの役割の一つとして、学校が独り立ちするための基盤を作ることという言葉が非常にしっくり来ました。普段学校に教科指導や進路指導について様々提案を行っているのですが、どうしても学年によって色が異なり、せっかく築いた指導案も単発的になってしまいます。キャリア教育や探究もこれと同じで、まずは該当学年の指導を構築し、それを学校の基盤として根付かせることが必要だなと感じます。 具体例も多く非常に勉強になりました。外部連携の実践例の3つにおいて、特に産業界との連携で学習意欲の喚起、そこから目標を定めることに繋がることが重要だなと感じました。上記にも記載しましたが、学校の探究活動におけるコーディネーターの役割を把握し、先生生徒にとって良いキャリア教育を実現し、それを学校に根付かせるためにはどうすればいいのか考えていきたいなと思います。 普段主に高校現場で活動していることもあり、小学校範囲でのキャリア教育を考えることは非常に良い経験となりました。ただ教科書で学習を進めるだけではなく、そこに専門家に参加してもらい知識や実践例を伝え生徒にも興味を持って学習を進めてもらう、また小学生vsプロという場からも学びを得ることが出来ることが分かりました。

●外部の力(周辺地域や伝統、専門職等)によって、教科・学年横断的でキャリア教育としての狙いや効果が期待出来ると知った。私は、このような視点を授業作成にどう生かすことが出来るのかを探究したいと考えた。特に、「キャリア教育コーディネーター」としてどのような授業を創ろうかと考え始めると、色々な人や物事を試して見たいという好奇心をくすぐられるような感覚に襲われ、非常に興味深い・面白いと感じた。

●「必ずしも真っ直ぐな道が正しい(正当な)道では無い。」ことを学習した。それは、探究の中で「寄り道」を何度もすることで、人生に「幅」を持たせることが出来るからである。私は、教師を目指すという一筋の想いがあるが、幅を持たせるためにも、色々なことに挑戦したり、参加したりすることを実践していきたいと考えた。 キャリア教育コーディネーターの創る授業は、いずれもかなり興味深いものであった。いずれの教科でも外部の力を交えた授業を行うことで得られる学びは、児童・生徒にとってかなり有意義なものになるのでは無いかと考えた。その中でも、一見繋がりのなさそうなものでも、よく考えてみることで繋がりを持たせるというキャリア教育コーディネーターの本質に迫ることが出来たのではないかと感じた。

●児童生徒の成長は探究した内容と資質能力を別々の発表の場を用意する。” モノづくり体験は児童生徒の印象に残りやすそうで、地域の方と児童生徒とのふれあいの良い機会になる。ホップ和紙の卒業証書のような、様々な立場を巻き込む地域連携を図りたい。
学校行事は学んだことを活かす場、自分の行動が地域・環境に繋がる、日頃の活動に価値を(高校生の作品がふるさと納税に活用された話を聴いて) 午後からの参加で聴けませんでした。 様々な事例を紹介いただいたので、自分が関わっている高校でも取り組めるかを考える機会になりました

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