×センパイ

セラさん

人生に繋がる、学生時代の気持ちや思い。| Hello! Senpai. Vol.05

こんにちは!
NPO法人DNA  授業「未来の教室」 学生メンバーの「みゅうつー」こと櫻井です。

”群馬の10代と社会をつなぐ”「Hello! Senpai.」のインタビュー第4弾!
今回は「セラさん」こと新井セラさん(社会人センパイ)にインタビューしてきました。

セラさん(新井セラ)
ワーク・ライフバランスコンサルタントとして働きながら、1歳の男の子を育てるママ。2017年10月から社会人センパイとして授業「未来の教室」に参画し始める。センパイコミュニティ運営、他授業プログラムへの参画など、積極的に活動に取り組んでいる。

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まさにいま授業「未来の教室」でやってるようなことが、私が高校生のときに欲しかった関わり。

── よろしくお願いします!授業は中高生向けのプログラムですが、セラさんはどのような高校時代をお過ごしになられましたか?

セラさん:よろしくお願いします!私の高校時代を思い出してみると、人生が変わった出来事がふたつありました。
ひとつは、ニュージーランドに語学留学に1ヶ月行ったことです。私はニュージーランドと日本のハーフなので、見た目で英語ができそうと思われるんですけど、実はそこまででもないっていうのがコンプレックスで。ずっとこのままじゃなくて、ちゃんと英語できるようになりたいわって思って、ニュージーランドに行って英語に本気で取り組んで、英語でのコミュニケーションができるようになったことが、その後の私の人生に大きな影響を与えたひとつめの出来事でした。
もうひとつは母の病気で、私が高校1年生の時に、私がニュージーランドから帰ってきてすぐ、母ががんになりました。それから母は手術をして治療が始まったので、私の高校生活の思い出は母の病気と重なるところがあります。お母さんが死んじゃうのかなっていう不安とか、どうしたらもっと家族で楽しい時間を過ごせるかなって考えたりしながら、毎日を過ごしていました。そういう不安について、学校の友達や、ニュージーランドで出会った友達、幼馴染や他の友達に話してみたり、でもどうしても話す気持ちになれないこともあったり···。それでも、振り返るといろんな友達が支えてくれていたなって思います。

── 授業に参加したきっかけはなんですか?

セラさん:代表の沼田さんからプログラムの話を聞いた時に、「私が高校生の時にもそんな授業欲しかった!」と感じて参加するようになりました。私は高校生の頃、「大人になると大変なことばかりなのでは?」って不安で、大人になることが全然楽しみじゃなかったんです。そんな時に、センパイとして伺っている私たちのような普通の社会人や大学生との対話の機会があったら、きっと未来との距離がもっと縮まって、大人になることに対して希望を持てたのではないかと思いました。

── 具体的にどういう関わりや対話があったらよかったなあと思いますか?

セラさん:親でも先生でもない立場の人と、フラットな関係で、人としてのその人、何が好きとか何が楽しいとか、何に悩んでたりとか、そういう対話ができるような関わりがあったらと思いました。なので、授業「未来の教室」の話を聞いた時には、まさに私が高校生のときに欲しかった関わりだなあって思いました。

家でも職場でもない場所ながら、チームとして一緒に頑張る仲間がいるのも、授業「未来の教室」の魅力。

── 初めての授業に参加したときのこと、教えてください!

セラさん:初めて授業に参加したのはハーフや帰国子女の生徒も多い学校でした。私は自分が高校生のときにハーフの大人には会ったことがなかったので、私みたいな、同じハーフで海外経験のある人と話すことで前向きな未来をちょっとでもリアルに思い描いてもらうきっかけになったらいいなって思ったのを覚えています。

── それまでの準備はいかがでした?

セラさん:自己開示というか、自分の思いや考えを表現することを結構求められるんだって思って(笑)そりゃそうだよねって思いつつ、気持ちのハードルをひとつ越える必要はあったけど、一緒に研修に参加していた他のセンパイたちも魅力的で、その人たちの話を聴くのもおもしろかったし、「みんなで場を創るってこういうことか!」っていうのを研修で感じました。実際に授業に出るのが楽しみになりました。

── みんなで場を創る。これは授業をつくる上で、みんなでものすごく大切にしていることなので、セラさんがそう感じてくださったことがとってもうれしいです。どんなときに、みんなで場を創っているな、と感じますか?

セラさん:授業の前に、みんなで自己紹介をしてリラックスできる空気作りをするところもそうだし、同じセンパイの中でも、たくさん経験している人が色々教えてくれたり、初めて参加する人はみんなでウェルカムしたり、コミュニティとして機能していて、チームでその日を一緒に創ろうとしてる時にみんなで場を創っていると感じます。私にとっては、家でも職場でもない場所だけど、チームとして一緒に頑張る仲間がいるっていうのも、授業「未来の教室」の魅力で、そんなコミュニティづくりをしているNPO法人DNAってすごいなって思ってます。

── 授業では、どんな姿勢で生徒と関わっていますか?

セラさん:大人になっても、普通に趣味の時間や友人・家族との時間を楽しんでいることや、悩んだり迷ったりすることもある中でも日々試行錯誤を繰り返していることなど、なるべくかっこつけずに自然な姿を見せるようにしています。
あとは、その子が探しているものを一緒に見つけにいきたいというか、その子の中でモヤモヤしていることを、少しでもクリアにするお手伝いができればと思って関わっています。その子が自分で答えを見つけた過程が、また次に答えを探すときのヒントになったらいいなあって思って、一緒に考えながら。

── 印象的な生徒の言葉や変化はありますか?

セラさん:「理想の自分」をテーマに話をしていた時に、他の人から自分の意見に反対されると感情的に言い返してしまうことに悩みを感じている生徒がいて。本当はちゃんと相手の意見のいいところも受け止めて、もっとうまくコミュニケーションできる自分になりたいっていう話をしてくれていたんです。

その後「本当はやりたいのにできていないことってなに?」って話になったときに、その子は部活をやっていて、親や先生に「もう部活を卒業したほうがいいんじゃない?」って言われていたそうで。自分は「続けたい」って思っているけど、勉強との両立が難しくって、お父さんに反対される……、みたいなことを話してくれました。

「もしかして、理想の〇〇ちゃんだったら、お父さんと部活のことをもっとうまく話せる、話したいって思っているのかな?そういうふうに、〇〇ちゃんの中でさっきの話とつながってる?」ってきいたら、はっとした顔で「つながってた!」って大きく頷いていて、「そうだ、お父さんとちゃんと話したいんだ。」「私はお父さんとちゃんと話せて、部活も勉強も両立できる人になりたい!」って。

最後に書いてくれた”FUTURE PASSPORT”にも、「今までは自分がどうしたいかわからなかったけど、今日それがはっきり分かった」って書いてくれたということがありました。そんな対話ができたことがとっても嬉しかったし、印象的だったエピソードです。

【FUTURE PASSPORT/フューチャーパスポート】
授業の終わりに、生徒が今の気持ちや考えていることを書き留めるもの。授業後にセンパイが回収し、メッセージを書いてから生徒に送り届ける。いつでも持ち歩けるような手のひらサイズで、筆箱に入れたり、学生帳に入れたりして肌身離さず持っている生徒もいる。

「大人になるって、そう悪いことじゃないのかもしれない、人生はきっと楽しい」と思ってもらえたら嬉しい

── 生徒との関わりから、お仕事に影響していることとかありますか?

セラさん:「大人になるって、そう悪いことじゃないのかもしれない、人生はきっと楽しい」と思ってもらえたら嬉しいなと思って参加しているんですけど、その一方で、今話している生徒たちが大人になって社会に出た時に、「あの時そう思ったのは間違いじゃなかった」と思ってもらえるような日本をつくっていかなきゃいけない!という大人としての責務のようなものを感じることがあります。みんなが大人になった時にがっかりしない社会、誰もが生き生きと人生を楽しんでいける日本をつくっていかなくては!と、自分自身の仕事へのモチベーションをもらっているような気がします。

── 何がきっかけで「大人になるってそう悪いことじゃない……」って思ってもらいたいと思うようになりました?

セラさん:私も中学生や高校生の頃、「大人にはなりたくない」って思っていたんです。たぶん、周りの大人たちがあまり人生を楽しんでいるように見えなかったからだと思います(笑)。でも、大学時代に今の会社の社長が書いた本を読んだことがきっかけで、大人も子どもも安心して人生を楽しめる社会、「大人になるのが嫌じゃない社会を作る側になりたい」と思うようになりました。ワーク・ライフバランスコンサルタントという仕事の中でも、子どもたちに大人たちがもっと人生を楽しんでいる姿や、自分らしく生き生きと生きている姿を見せていけるようにできたらと思っています。

── お話を聞いていて、セラさんは社会というものを意識されているなって思ったんですけど、それはなぜですか?

セラさん:大学時代の私は、なるべく早く日本を出たくて、なるべく早く海外に脱出できるようなキャリアを作ろうって思っていたんです。でもさっき話した、今の会社の社長の本を読んだ時に私、「そうか、日本の働き方が問題だから私は日本で働きたくないと思っていたのか、確かに働き方が変わったら日本の社会はめっちゃ変わる!」って思って、だったら日本に住みたい、って思ったんです。自分が居心地の悪さを感じていた社会に対して、不満を持ったり脱出したりというだけでなく、社会を変える側になるっていう選択肢があるんだ、と衝撃を受けて。そこから常に、自分の中に「社会」というキーワードがある気がします。

── DNAでは、「群馬の高校生に社会とのつながりを届ける」ということを大事にしていますが、セラさんにとって、社会とつながるとは?どういうことで、どういう意味がありますか?

セラさん:最後に難しい質問、、、(笑)!!私自身、コンサルタントとして、お客様や色んなステイクホルダーに関わる顔もあるし、子どもの母親や一市民として、保育園や役所の人と関わる顔もあるし、NPO法人DNAや他のボランティアでまた別の人たちと関わる顔もあって、あとは一消費者として社会と関わる顔もあって、その色んな接点ごとにお互いに影響したりされたりしているのが社会とのつながり……かなぁと思います。
どんな意味があるか……。DNAとして群馬の高校生に届けたいもののもうひとつが自己効力感だと思っているんだけど、自己効力感を届けていける存在にであるためにも、社会とのつながりをとおして、自分ができる価値提供を考えたり、自分なりの挑戦を続けていくことに意味があるのかなぁと思います。そうすることによって、私自身が経験した社会とのつながりとして、私なりの言葉で生徒たちに届けていけるものになるような気がします。

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セラさんにインタビューをしているとき、私の頭の中にある様々な「社会」が思い浮かんできました。
私にとって、学生のときは学校が社会でしたし、クラスが社会でした。
もちろん、働くこと、生きること、人と関わること……、様々なものが「社会」になり得ます。
もしかしたら「社会」って、ひとつではないのかもしれません。
社会を変えることに取り組むセラさんの言葉の1つ1つからは、楽しみな、わくわくする未来が垣間見えるような気がしました。
社会とつながりをもつひとりの人として、私には何ができるんだろう。じっくり、深く、考えたいなと思いました。

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[取材・文・写真]櫻井[編集]沼田

※ 生徒や学校のプライバシー保護のため、個人や学校が特定できないようにエピソードや固有名詞の一部を改変しております。
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