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のうち

新しいことに触れる楽しさを、生徒にも自分にも届けたい | Hello! Senpai.Vol.02

こんにちは!NPO法人DNA 授業「未来の教室」 学生メンバーの「みゅうつー」こと櫻井です。

本記事は、授業「未来の教室」をともに届ける学生や社会人へのインタビューを通じて、”群馬の10代と社会をつなぐ”ことを目指す「Hello! Senpai.」です。

「Hello! Senpai.」の記事としては第1弾!今回は「のうち」こと竹之内くん(群馬大学理工学部4年)にインタビューしてきました。

 

のうち(竹之内)
群馬大学理工学部4年。群馬県出身。高校から始めた弓道を続けて7年目。2019年5月に授業初参加。同年10月からは、生徒と関わるセンパイでありながら、授業を担う事業部の学生職員として活躍中。授業の運営、センパイに向けたオリエンテーション・説明会の運営などを担当している。

NPO法人DNAで大切にしている対話の姿勢が、自分が目指してるチカラだって思った。

── よろしくお願いします!授業は中高生向けのプログラムだけど、のうちくんはどんな高校生だった?

のうち:弓道ばっかりやってたな。お兄ちゃんきっかけで弓道を始めて。部活しに学校行ってるみたいな感じだった。

── 授業に関わり始めたきっかけは?

のうち:きっかけは、大学3年生で部活を引退して自由な時間ができたことかな。何か新しいことがしたくて、ボランティアをしようと思ったんだ。「群馬 ボランティア」で検索して授業のことを知って、センパイ募集説明会に応募したんだ。

── 説明会に行って、実際に授業について詳しく知ったとき、どう思った?

のうち:”じぶんふりかえりシート”をやって楽しかったし、対話の姿勢については、全部自分が身に付けたい姿勢だなって思ったし、自分が目指しているチカラだなって思った。
(高校時代に)部活の仲間に悩みを相談されたときに、もどかしさを感じたときがあって……。もっといい関わりができたよなあ、って思うような。相談してくれて、頼ってくれてうれしかったけど、その子が求めているような対応ができたかというとそうではないような気がしていて……。
だから、NPO法人DNAで大切にしている対話の姿勢が、自分が目指してるチカラだって思ったんだ。

【じぶんふりかえりシート】
自分のこれまでの歩みをふりかえるワークをするために使うシート。自分が高校生だった時に、どんなことに悩み、考えていたのか。その経験が今の自分にどうつながっているのかを捉え、深めていくもの。

「来年また授業があるならもう一度センパイにお願いします」って言ってくれたのがすごくうれしくて。

── 今はどんな気持ちで授業に取り組んでるの?

のうち:授業をすごく楽しみにしてるんだよね。何が楽しみかっていうと、授業で出会う生徒が、それぞれの考えや人生を伝えてくれることかな。
生徒が伝えてくれる物語の中には、自分が経験できなかった人生・考えがあるから、楽しいって思うよ。俺は、授業がある度に自分の中学・高校生活を振り返って準備するんだけど、何回か参加してみて、自分の高校時代に授業「未来の教室」のような機会があったらどんなに良かっただろうって思う。自分の考えを表現できて、それを受け止めてくれて、一緒に考えてくれる存在が高校時代に欲しかったな。
俺がそういう存在になれたらいいなあって願って、悩んで、楽しみながら参加させてもらってるよ!

── 実際に授業に参画して、印象的だった生徒の言葉や変化はある?

のうち:「どんな自分でいたい?」っていうテーマのときに、「明るくなりたい」って言っている生徒がいたんだ。その生徒が、「自分と(のうちが)似てます」って話をしてくれたのが印象的だったな。自分の話をしたのかな、俺が。「来年また授業があるならもう一度センパイにお願いします」って言ってくれたのがすごくうれしくて。
正直自分は毎回生徒にとってプラスになれたのか、自分がセンパイでよかったのかって不安になるんだよね。でも、この言葉みたいに、自分がよかったって言葉をもらうと安心するし、次も頑張ろうって思えるな。

── その生徒と、のうちくんの間には共感が生まれたんだね。共感の言葉を伝えることを大切にしようとしているの?

のうち:素直に共感したときは、「俺もそう考えてた」とか「俺も同じ経験したことある」とか伝えて。違ったら「そういうこと考えたことないな、おもしろ!」って伝えるかな。

「楽しい!」って感じてもらいたい。

── 私はのうちくんの話を聴いていて、生徒に対してや仲間に対して、尊敬の気持ちを抱いたり、楽しんだり、おもしろがったりするところが素敵だなあって思ったよ。それって、どうしてその気持ちが生まれるの?

のうち:うーん。尊敬っていう意味でいうと、本当にすごいなって思うから尊敬するし、おもしろいなって思うのは本当におもしろいなって思うから(笑) 俺はひとつのことしかやってこなかったんだよね。小学生、中学生のときだったら野球しかやってこなくて、野球をやってるメンバーとばかり関わって、高校生から始めた弓道だったら、弓道をやってるメンバーとばかり関わって。すごく、狭かったんだ。

生き方に関しても、どこかに就職して一生働くみたいなのしか知らなかったけど、授業「未来の教室」のセンパイ募集説明会に来て、様々な経験・生き方をしている人がいるってことを知って、頭に入ってくることのすべてが初めてで。俺は新しいことを経験するのって楽しいって思っていて、授業に関わることは新しいことだらけだから、楽しいって思うんじゃないかなあ。

── のうちくんは、生徒に授業をどんな機会にしてもらたい?

のうち:「楽しかった」、「しゃべっていいんだ」って思ってもらいたいな。

── 生徒には、どういう気持ちで「楽しかった」って思ってもらいたい?

のうち:新しいものに触れたときに、「楽しい!」って感じてもらいたい。センパイの”語り”を聴いて新しいことを知ることだったり、自分自身の気づいてなかった気持ちに気づいたり、俺のような、生徒からしたら全く知らない人と出会って話したりするような、新しい経験をしたときの楽しさを感じてほしいな。俺も新しい経験をしたときに、「楽しい!」って思うから。

【語り】
授業の中で、紙芝居などを用いながら、センパイが経験した過去の挫折、紆余曲折してきた経験、渾身の仕事などを中高生に伝える時間のこと。

── 授業を通じて、生徒から学んだことはなに?

のうち:生徒から学んだことは、人それぞれどう生きてきたか、何を考え、何を思ってきたか、それが10人いたら10通りあることかな。当たり前のことなのかもしれないけど。
俺は、授業に関わる前は人をくくって考えてしまうところがあったんだ。こういう人はこうだよね、っていう風に。でも、そんな自分を変えてくれたな。

── えー!のうちくん、もともと人をくくって考えてしまうタイプだったの?

のうち:人の一面を見て、「あーこの人こういう人ね」って、今まで会ってきた人の中で似た人を探して、関わらないでおこうって思うことがあって、くくって考えてしまうところがあるなって思ってた。

──どうして変わったの?

のうち:人を知るのが、楽しくなってきちゃった。「なんで、こんなに違うの?どう生きてたらそうなるの?」って(笑) 俺がはじめて授業に参画したとき、帰りにセンパイのみんなでごはんを食べに行ったんだ。そのとき、ある学生職員が、他の学生メンバーたちと関わっているのを見て、「どう生きたらこうなるんだろう?この人おもしろー!」って思って。学生職員の彼は、今まで出会ったことのないような人だったんだよね。それまで人をくくって考えてしまっていた自分にとって、「こういう人ね」ってくくれないような、すべてが新しくて、楽しい存在。そんな彼を見て、授業に関わり続けようって思ったな。

あと、同期のある学生メンバーと初めて会ったとき、すごく安心した!彼は「この人の隣にいれば大丈夫」って思えるような安心感がすごく強くて、はじめて会う人ばかりの環境に飛び込む俺にとって本当に心強かったな。NPO法人DNAの存在は大きすぎる。4年生の間しか関われないのが本当に残念。来年からは仕事もあるし、すっげえ寂しい。

── 最後に、「Hello! Senpai.」のコンセプトは、”群馬の10代と社会をつなぐ”なんだけど、のうちくんにとって「社会とつながる」とは?

のうち:自分がいる場所、仕事、団体を社会だとしたら、そこにいる人とつながることかな。自分が社会とつながって、その社会のことをよく知るっていうのも社会とつながることだと思うし。そこにいる人たちをわかることが、つながるってことじゃないかな。

相手がどんな人かわかる。どんな人生を生きてきて、どんな性格の人なのかわかること。社会のことをわかること。どんな目標があって、どんな人たちがいて、そういうのがわかるということが、「つながる」ことだし、「社会とつながる」ということだと俺は思うよ。

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私は、新しいことを経験することに対して、ネガティブなイメージを持っていました。勇気が要ること、不安な気持ちでいっぱいになること、緊張すること、怖いこと、……。

でも、新しいことを経験する楽しさを語ってくれたのうちくんの話を聴いていく内に、「楽しい」気持ちがだんだんと湧きあがってきました。人を、そして違いを知って、新しい価値観や生き方、考え方に触れる。そこから生まれる楽しい気持ち、ほんのりとうれしい気持ち。のうちくんの話を聴いて感じたこの気持ちは、私にとって「新しい」ものでした。

これから出会うたくさんの人たちと関わる上で、その人を知ること、その人と自分との違いを知ることを、楽しんでみる。これから待っている経験に、今はわくわくしています。

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[取材・文]櫻井 [写真]竹内 [編集]沼田

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