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描く未来の道しるべとなる出会いと交流を。- 8名のゲストによる「ロールモデル講演会」

2022年06⽉14⽇(⽕)、探究コーディネーターとして年間を通じて支援している群馬県立太田女子高校1学年「ロールモデル講演会」を行いました。

この授業は、「総合的な探究の時間」の一環で、“切り拓く未来”をテーマに、ゲストから自らの未来と社会の未来をどう描いて、どう試行錯誤してきたのか等を学び、高校生一人ひとりが自らの探究課題を設定していくための学びをえる授業です。

● CMFデザインを通じた自動車産業の未来

● 教育×国際で取り組むグローカル(Glocal)な学び

● 「きょうだい」も自分らしく過ごせる日常

● 外国ツールの子どもたちが日本で暮らし学びやすい社会

● 「フォロワーシップ」を通じてだれも孤立しないつながりある地域

● 自分らしく等身大にキャリアを歩める未来

● 地域の大切な情報を手元に届け続けるメディアの進化

それぞれのゲストが日々向かい合っているテーマについて、お話をいただきました。一見、順風満帆に見えるゲストのみなさん全員が口を揃えて語っていたことは「失敗だらけ、試行錯誤の連続で今がある」ということ。その過程の中で、自分自身が向き合うテーマを見出したり、方向転換したり、今も模索していることを、等身大で語っていただきました。

ゲストからのお話の後は、質疑応答と交流の時間。高校生たち自ら「問い」を立てて、質問としてぶつけていきます。

【高校生たちの学び(一部抜粋)】

● 漠然とした未来に対して不安があったけど、高校生のうちから悩まずにこれからのにたくさんの出会いによって未来が開かれると聞いて少し安心した。今のうちから苦手意識よりも好奇心を大切にしていきたいと思った。

● 高校時代の心情が中学時代の私に少し似ていると思いました。将来というと仕事のイメージが強かったけれど他のやりたいことと両立させることもいいなと思いました。人の話を聞くことはとても貴重で大切なことだと実感しました。将来の自分が今イメージした自分と違っても充実していると思えるようになりたいです。

● なかなかメディア関係の仕事を詳しく聞く機会がなかったので、今回の講演会でたくさん知ることができて本当に嬉しかったです。ゲストが仰っている通り、これからの未来、新聞や雑誌、漫画、書籍など全方位DXになると私も思います。しかし、紙であるからこその良さもあります。将来、デジタルになってしまっても紙のほうの本も作っていきたいと思います。アドバイスを生かして、これから頑張っていきたいと思います。

● これから沢山の選択があるけど、その時自分の軸をしっかり持っていると判断しやすいと教えてもらったので、先のこと(ネット社会)のことも考えつつ、失敗を恐れないで自分がやってみたいと思うことをどんどんやってみたいと思います。本日はたくさん参考になる話をしてくださってありがとうごうざいました。みんなと意見を交換しやすい雰囲気だったのですごく有難かったです。

● 10年後に自分のなりたい職業はどのようになっているのかという問いが印象に残っています。自分が将来、就職活動するにあったてどのような職種を選ぶのかをよく考えたいなと思いました。また、今日頂いた新聞をみて読めない漢字があって少しショックだったので新聞が手元にあるときは読んで学力も高めたいなと思いました。

● ジェンダーという言葉が周知されてきたなかでも、ガラスの天井はまだどこかにあること。関心がまだ十分に向けられていないこと。(これは、私達が社会福祉士という職業についてよく知らなかったこともそうだといえます)今まで深く考えたことがなくて、とても勉強になりました。次の世代がより働きやすくするために、子どもたちへ、探究のような時間を通して、新しいものごとの考え方を伝えていくことがいいかなと思いました。小さい頃身についた「当たり前」はそう簡単に消えないと思うからです。今回お話を聞けたことで問題について知ることができましたが、もっとたくさんの人が問題を共有していけるようにしたいと思いました。

● 「きょうだい児」についてのお話、とても興味深かったです。私は知的障害を持つ子が友達にいるのですが、一時期不登校になってしまっていたこともあってつらそうでした。その原因だったいじめは解決したのですが、その子のメンタル的には何も解決していなかったんだと思います。今日の話を聞いて、私はあのとき心に寄り添ってあげることをするべきだったんだ、とはっとしました。障害だけでなくそういった障壁を持つ人々が過ごしやすくするには、設備を整えるとかだけではなく、その人に寄り添ってあげることもとても大事なのだとわかりました。私も、そういった人やその人の周囲の人が落ち着ける居場所をつくってあげたいです。そのためにはあれこれ考えるよりもまずは行動を起こそうと思います!

● 「私がやるから意味がある」という言葉が心に響いた。でも、やっぱり自分だけで新しいことをやるのは勇気がいるし自分にはハードルが高すぎると想ったため、何かやりたいなっと考えたときは同じ目標を持った仲間と協力して踏み出して見たいと思った。

● 自分は、今はまだ何になりたいとか、どういう進路を進んでいけばいいのかなど、わからないことがたくさんある中で、少し興味があったデザイン系の仕事について、どういった経路で今のお仕事をしているのとか(特に高校や大学の進路について)、具体的な部分が知れてよかったです。また、デザイン系のお仕事の具体的な内容を聞けたので、今後進路を決めていく中で、参考にしたいと思います。(とても面白かったです。)友達と講演の内容を振り返ったときに、周りの人を頼ることや、出会いを大切にしていることなど、勉学な部分だけでなく、人間関係の部分も大切であることにも気づけました。自分も色んな人との出会いを大切にし、1人で抱え込まず、周りに頼って進んでいきたいと思います。貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました。

● 今回、貴重なお話を聞かせていただき、本当にありがとうございました。私はまだやりたいことが見つかっていなくて、文理選択すらもできていない状態です。でも、高校一年生の今すぐに進路を完全に決めなくても良い、今はきっかけを作っていくべき時なのだと学ばせていただき、まだ焦らなくても良いのかな、と少し安心することができました。また、もし私がゲストのように働いていて、子供ができたとしたら、どんなに頑張ってきた仕事でも、私は自分に甘いので苦しくてやめてしまうと思います。でも仕事をやめずに続けていて、自分のやりたいことに真っ直ぐで、自分を律していて、その全てが本当にすごいし、「仕事をバリバリこなす親」として自分を誇りに思っているところも、とても素敵だなと思いました。私も将来、ゲストのような素敵な人になりたいです。

● 常にお客さんのことを考えて、内装やシートを工夫しトライアンドエラーを繰り返している姿に感動しました。仕事をバリバリにされているのにお子さんが5人もいると思うと、尊敬でしかありません。好きな仕事をしつつ子育ても両立している秘訣は「その時その時を全力疾走」していることだとわかりました。私もこれから好きを見つけて選んでいき、全力疾走をして両立を目指していきたいです

● 自分の人生は親のものではないという言葉は、今の自分にとても刺さりました。これまでの人生を聞いて私も興味のあることをたくさんしていき、もっと他の人と交流を持ちたいと思いました。また、マインドマップを作ったことで今までは気恥ずかしくて言えていなかったことを書き出せてすっきりしたのと同時に、自分の気持ちを整理できてとても良かったです。

● 自分の普段の思考とは全く違った角度のお話を聞くことができて、とても新鮮でした。自分の思考はとても狭いところにとどまっていたんだなと感じました。特に多文化共生とSDGsの繋がりは、一つのテーマからこんなにもたくさんの回答が生み出せるのか、ここまで発想が広がるのか、と圧倒されました。また、私は出された課題はこなすべきものと考えて特に疑問もなくただ解いていた部分もあると思ったので、受け身な自分を卒業し、クリティカルに物事を考えられるようにしたいです!

● いくつかのテーマを組み合わせて考え、自分なりに答えを出すことが大事だ、ということを知れました。それには、批判的に考えることで、より理解を高められることがわかりました。自分は、自分の意見を言葉で表現することが苦手なので、なぜ苦手なのか、どうすれば表現できるのかを考え、納得できるような答えを出し、克服していきたいと思いました

● 自分の住んでいる世界のなんと狭いこと!というのを実感しました。狭くてカタイ今の自分の世界から、のびのびとラフで楽しい世界にしていけるようにたくさん行動したいです!!本当に霧が晴れたようにスッキリしました。私のロールモデルです。

● 普段から、不妊について気になっていたので話が聞けてよかったです。自分ももしかしたら不妊治療をするかもしれない、でもよく知らない、少し怖かったので今回少し勇気をもらえました。メールを送ろうと思うので、お話させてください。

● 先生の「 終わった と思った瞬間、次の扉が開いている。」という言葉がとても印象的だったし心に響きました。私も十何年しか生きていない中でも辛いことやいなくなりたいことがありました。これから大人になっていくに連れてきっともっと辛いことも増えていくと思います。そんなときは先生の言葉を思い出してポジティブに諦めないで、生きる理由を探しながら生きていけたらなと思いました。今日は本当に貴重なお時間を有難うございました。とってもいい時間になりました。

● 私の身近なひとで、「女性だから」という理由で、仕事をやめざるをえなかった人がいます。今回、講演を拝聴し、女性が働きやすい社会づくりに取り組んでいる方がこんなにもいたのだと、とても驚き、嬉しく思いました。私はゲストのように、表立って女性の生き方や仕事について世の中に発信することは難しいですが、「女性だから」という理由で何かを諦めるひとが少しでも少なくなるよう、間違った固定概念を持たないことができると思いました。今日は本当にありがとうございました。社会や自身を見つめ直す良い機会となりました。これからも応援しています。

● 自分がやりたい職業がないのであれば自分で立ち上げればいいという気持ちに感動しました。また個性を大切にしていて、それぞれの強みを生かしていくことでお互いを補うことができる関係性になるということはすごくいいことだなと思いました。どうしても全てを完璧にこなさなければならないという感情は出てきてしまうので、頼ることの大切さも重要だと改めて感じることができました。他にも自分の考えを貫き通すことができる強い心などに感心しました。周りから何を言われようともとりあえずやってみるという精神は大切なんだと知ることができました。外国人の生徒の退学率が高いとおっしゃっていましたが私はその問題に対して、外国人の生徒の援助を増やすのではなく、日本人の生徒に外国人という理由で警戒してしまったり話すのを躊躇しないように考え方を変えるほうが早く解決すると思いました。私の小中学校は外国人の子やハーフの子がクラスの約3分の1を占めるほど多く正直国の壁はあまり感じませんでした。そのような恵まれた環境で育ってきたからこそ言葉が通じなくてもジェスチャーなどで理解しようと努力して、周りの子と同じように遊ぶことができました。このことから私は日本人の捉え方次第で簡単に変えることができるのではないかと思いました。私は海外の文化が大好きで多文化共生の難しい理由がはっきりとわかりません。それぞれが過ごしやすい社会にするために必要な技術はすでにあるのではないのかと感じています。しかし実際にどれぐらいの人が多文化共生に興味を持ち賛成しているのかはわかりません。講演を聞いて多文化共生が決して簡単ではないこともよくわかりました。そこで海外の文化が好きだからこそもっと色々な文化に触れて、その文化の良さや特徴が広まったらいいと思いました。

● 自分の関心がある分野で実際に働いている方のお話を聞くことができてとても興味深かったです。ゲストが目指されている「日本で育ってよかったと思える社会」は私達が普通に生活している中では実現されているように思えていたけれど、実際に外国人の子供や家族への支援などを考えてみるとなかなか実現しているとは言いづらいものがあるなと思いました。それを解決していくためには、人の意識の変化というものがとても重要になってくると私は思います。いくら支援や援助の仕組みが整っていたとしても周りの環境が今と変わらなければ日本で育って「よかった」と思える社会にまでは行かないのではないかなと思います。支援や援助は他の日本人と同じような生活環境にするのに必要であって、さらに住みやすい良い環境にするためには人間関係が大きく影響してくると思います。そのためには今よりも異なる文化を身近なものにしていくことが大切だと思います。今、日本には多くの外国の方が住んでいるけれどその方々の国の文化に触れたりすることはなかなかありません。だから、私達は普段の生活の中でなんの不便もなく暮らせている自分たちと母国でない国で暮らしていて不便なことも多い外国の方とを同じ環境、生活の質であると捉えてしまっています。そうすると、助け合える関係を作るという考えに至らないのではないかなと思います。そういう関係を作っていくためには、支援などの現状を発信していくだけでなく、異文化に触れる機会をつくり、認め合えるような環境が必要だと思いました。今回、ゲストのお話を聞いて多文化共生の良さを知ると同時にその難しさというものも感じました。また、自分の気持ちや考えに素直になること、自分の弱さを隠そうとしなくていい(強みを伸ばす)、というのはわかっていてもなかなか意識を切り替えることができないなと思っていたことでもありました。改めて今回、そのことについても考えることができてとてもいい機会になりました。ありがとうございました。

ご協力いただいたゲストのみなさん(順不同)
●川又彩夏さん/高崎商科大学 キャリアサポート室
● 和田早紀さん/上毛新聞社営業局デジタル営業部課長
● 星野久子さん/社会福祉法人群馬県共同募金会
● 銀鏡 あゆみさん/「きょうだい会Shirabe」代表
● 重田美恵子さん/株式会社SUBARUデザイン部CMFデザイン課主任
● 天海敦子さん/ぐんま国際アカデミー教諭
● 西部沙緒里さん/株式会社ライフサカス代表取締役
● 海老原周子さん/JICA東京 高崎分室コーディネーター&一般社団法人KURIYA代表理事

「社会に開かれた教育課程」と言われる時代に

2022年4月から高等学校でも全面改訂となった学習指導要領。その理念として掲げられているのが「社会に開かれた教育課程」。

1. 社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、よりよい学校教育を通じてよりよい社会を創るという目標を持ち、教育課程を介してその目標を社会と共有していくこと。

2. これからの社会を創り出していく子供たちが、社会や世界に向き合い関わり合い、自らの人生を切り拓いていくために求められる資質・能力とは何かを、教育課程において明確化し育んでいくこと。

3. 教育課程の実施に当たって、地域の人的・物的資源を活用したり、放課後や土曜日等を活用した社会教育との連携を図ったりし、学校教育を学校内に閉じずに、その目指すところを社会と共有・連携しながら実現させること。

私たちNPO DNAは、学校教育と連携しながらも「学校教育を学校内に閉じずに、その目指すところを社会と共有・連携しながら実現させること」にも着目し、“学校外”の地域社会の人々とのやり取りも大切にしていきたいと考えています。

また、「総合的な探究の時間」においては、『横断的・総合的な学習を行うことを通して、自己の在り方生き方を考えながら、よりよく課題を発見し解決していくための資質・能力を育成することを目指す」と示されています。特に「自己の在り方生き方を考えながら」という点は、非常に大切で、自分が向き合うことには必ず自分なりの物語があります。「このニュースを見て憤った」「率直に疑問に感じて追及してみたくなった」「もっと面白さを広げていきたい」等、どんな些細な経験でも、そこで感じた自分の価値観がある。それらを考えながら、よりよい未来を描いていくために、いまに向き合う。その途中で、ロールモデルになる人々との出会いと交流をきっかけに、さらに自己の在り方生き方を考える……その繰り返しこそ、多感な10代にとって大切です。

今回の授業にあたって、ご協力いただいたみなさま、誠にありがとうございました!

本件に関して、ご関心ある方は、こちらからお問合せください。

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