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「自分の気持ちが話せて、なんだか嬉しい。」-中学生に、地元とのつながりを。(1/2)

2019.01.11 活動レポート

NPO法人DNA事務局です。2018年4月からのおよそ1年間、群馬県富岡市の4校の中学校において、授業「未来の教室」を届けてきました。

■富岡市地域づくり課との連携事業の経緯・趣旨はこちらの記事から

【代表コラム】「地元との関係性」が変わり始める前に‐富岡市地域づくり課×DNAの協働

【記事抜粋】

「じぶんの地元には、じぶんのことを応援してくれる人がいるんだ」という実感を手にできる機会と環境。そのために、富岡に縁のある人々が“センパイ”となって関わり、対話を通じて、生徒自身にある内発的な気持ちにそっと寄り添い、後押しする「未来の教室」を届けています。

親や先生には言いたくない秘密ができはじめ(自我があると秘密を持ちやすい)、自分の心の変化のスピードに言葉が追いつきにくいゆえに友だちとの関係にも変化が起こりやすい多感な時期だからこそ、届ける意味があります。

そんな「未来の教室」を通じて、中学生自身がそれぞれの歩みを前進させられる力を育んでいきます。

2019年1月現在、予定していたすべての授業を届けることが出来ました。

富岡に縁のある延べ100名ほどセンパイが、250名ほどの生徒に携わることができました。

 

本記事では、実際に届けた授業の様子について紹介します。

■「立志式」で、大人への誓いを立てる-。

各学校の先生方とそれぞれ2回程度、事前の打ち合わせを行いました。各校、生徒の様子はまるで違いましたが、ほとんどの中学校において儀礼的行事「立志式」に関連して「未来の教室」を届けることに決まりました。

 

「立志式」・・・知っていますか?

【「立志式」とは?】

現代の元服式と呼ばれる儀礼的行事「立志式」。14歳を迎えた子どもたちに、14歳という年齢の節目に大人としての自覚を持ち、祝う行事のこと。おおよそ2月の初旬頃に行われ、「立志の誓い」として決意発表や書道等の自己表現を行う場合が多い。県内では、昭和40年(1965年)に富岡の隣町である下仁田中学校で取り組まれたのが起源と言われている。

参考:「群馬県中学校における儀礼的行事「立志式」の広がりと取組の実態に関する研究-昭和40年代初期に導入した実践校の取組を中心として-」,2004

「地元に貢献できるような人になりたい」

「大人になってもチャレンジし続けられる人になりたい」

「大好きなバスケットを、将来の仕事にしていきたい」

 

中学生の今だからこそ、表現していく誓い。その誓いを、借り物ではない生徒自身の言葉で表現していく後押しを行うことになりました。

■「現在」と「将来」につながりを-。

「未来の教室」を届けるにあたって、先生方と大切にしていたことがあります。

それは、生徒が「現在の自分と、将来の自分に“つながり”を見出せるかどうか?」です。

 

「この授業は、自分の将来にどう役立つのだろうか?」

「いま頑張っていることは、どんな風につながるのか?」

「好きなことは、仕事にできるのだろうか?」

 

大人になって振り返ってみると、つながっていることがたくさんあることに気付きます。

もちろん「バスケットが好きなこと」が、「プロバスケットボール選手」という仕事に直接つながっていく場合もあるでしょうし、直接はつながらない場合もあるでしょう。

 

しかし、「バスケットが好き」である中学生である現在の自分が経験していることはたくさんある。そんな経験から、生徒は普段から「仲間は大切にしたいな」「(苦手だけど)地道な練習はすごく大切」と感じていることでしょう。

 

頭でもわかっていても表現しづらかったり、自分でもまだ気付いていないことがある。その後押しには、センパイとの対話が必要です。

 

センパイとの対話を通じて、生徒自身が「大人になっても大切にしたいと思えること」を見出していく。そこに、「未来の教室」を届ける意味がありました。

 

■中学生の“現在”に、ともに向き合う-。

2時間の授業において、生徒が安心して自己表現できる授業になるかどうかは、授業最初のセンパイのあたたかな関わりによって決まってきます。

 

 

さあ、授業が始まりました。

 

■中学生の“現在”に、ともに向き合う-。

生徒とセンパイは、お互いの自己紹介等を通じて、関係を築きます。

 

ー「今日の給食、おいしかったよね。私も食べたよ~」

ー「午前中は、何の授業だった?」

ー「最近、“あいみょん”流行っているけど、聴いたことある?」

 

少しずつお互いに関係を築けたところで、違うセンパイの経験談をともに聴きにいきます。

―――「小さい頃から野球一筋。大学4年間以外は、富岡で育ってきた。22歳で働き始めたんだけど、ある時、『富岡は衰退している』と先輩が言っていたのをきいて、何だかすごく悔しい気持ちになったんさ。自分に何ができるかわからないけど『少しでも富岡がよくなるようにやってやろう』って。それから、ようやく富岡が好きだということに気付いた。」

―――「大人になった俺が大切にしたいと思うことは、“しっかりと目の前の人に向き合うこと”。以前、何年も会うことができなかったお客さんに、何度も何度も足を運んで通いつめて、ようやく会うことができたことがあったんだ。気になって「どうして会ってくれたんですか?」と尋ねたら、『あなたが信頼に足る訪問を重ねてくれたからだよ』という言葉をかけてもらってさ。その言葉が忘れられなくて。それから大切にしようって思って。仕事で学んだことなんだ。」


―――「でも・・・振り返ってみるとね、無意識にでも何となく大切だよなって思えたきっかけが、野球部の経験なんだと思う。それまで一緒に頑張ってきた仲間が、ケガをしてしまって高校2年生の秋から試合に出られなかったんだ。そいつは自分がもうケガして試合に出ることは出来ないのに、朝も夜もある練習する俺にずっと付き合ってくれたんだよね。出たくても出られないのに。そして最後の大会、一生懸命頑張ったんだけど、一回戦延長12回で雨のサヨナラ負け。悔しい気持ち一杯で試合から引き上げて、帰りのバスに乗ろうとした時、その仲間がいてさ。一言、『ありがとうな』って声を掛けてくれて。俺は『ごめんな』としか言えなかったんだけど、そいつが俺に向き合ってくれたから頑張れたと心から思えた出来事だった。そんな経験が、大人になった自分にも活きていると思うんだ」

―「さっきの話し聴いてみて、どうだった?」

―「自分もいま野球やっていて、すごくためになった」

―「そうなんだ。いま、どんな風に取り組んでいるの?」

 

 

この後に続く、男子生徒から語られた部活動の話。

 

彼が小学校の時に始めたバスケットボール。そのまま中学の部活動に入部するも、そもそもの人数が少ないために、いつもギリギリの人数で練習。また、自分は小学校からやってきた“経験者”だけど、周りの友達たちは“未経験者”。経験者である彼がいつも仲間や後輩の練習の面倒をみながら、取り組んでいる。試合や大会になると、どうしても仲間がミスをしてしまう時がある。だけれど、それを責めることを彼はしないそうだ。

 

―――「だって、失敗して当たり前じゃないですか。失敗から成長するし、学べることがたくさんあるし、次につながるし・・・。何より一緒にやっている仲間には、一緒にやってくれてありがとうって思っているから、これからも失敗したって、一緒にやりたいんです」

 

 

このような対話を通じたやり取りを2時間、生徒全員と。

生徒の“現在”に、センパイはともに向き合ってきました。

授業終わりには、フューチャーパスポート(以下、FP)と呼ばれるカードに、生徒自身が気持ちや考えを率直に書き記していきます。


書き記したら、2時間ともに過ごしたセンパイにFPを渡して授業終了。

生徒がセンパイと歩きながら、体育館を出て行きました。



【生徒自身が書いたFPの抜粋】


先ほどのバスケットボールに取り組む彼のFPには、こんなことを書いてくれていました。

 

「いつもは考えたりしない、自分の思いとかを初めて分かろうとした。そうしたら、自分の良い所が分かったり、やりたい事やなりたい人、自分の気持ちが話せて分かって楽しいし、なんだか嬉しい。」

 

 

思春期世代である中学生は、自我が芽生え始めていく時期を過ごしています。その時期は、自分の心や考えの変化のスピードに言葉が追いつきにくい。だからこそ、“言葉にならない言葉”を受け止めながら、対話を通じてセンパイとともに言葉にしていく。言葉にしてみて初めて、自分にある“内発的な意志”に気付き、それぞれの歩みを前進させられます。

 

センパイは、対話を通じて生徒とともに考え、学ぶ存在です。

それでは、センパイはどのような研修や準備を重ねてきたのでしょうか?

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