群馬の高校生に向けた「未来の教室」・・・実施する先生の想いとは?

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高校生の“社会を生き抜く力”を育むために。-浅岡祐平先生インタビュー(1/2)

2017.11.27 インタビュー

NPO法人DNAが群馬県内の高等学校に通う生徒に向けて届けるキャリア学習プログラム「未来の教室」。

 

限られた2時間の授業の質を高めるために、事前に行う先生へのヒアリングを通じて、高校生の現状を正しく捉え、ともに機会を届けています。

 

「未来の教室」を届けるにあたって大切にしていることは、プログラムが“外付け”にならないこと。

高校生が日常に戻った時に、高校生が一歩目を踏み出し、行動し続けられるような環境を目指すために、先生方の想いや課題感を基にしたプログラムづくりを心掛けています。

 

そこで今回は、2016年12月7日に、群馬県立桐生南高等学校に通う3年生へ届けた「未来の教室」について、担当教員として取り組んでいただいた同校の浅岡祐平先生に、代表理事の沼田がお話を伺いました。

 

浅岡先生が、未来の教室を実施した後の高校生の変化をどのように捉えたのか、普段どのような想いで高校生に向かい合っているのかについて、ぜひご覧ください。

【紹介】群馬県立桐生南高等学校 教諭。教科は公民科。JRC部顧問。自身の高校時代の翠巒祭※実行委員会やJRC部での経験を原体験として、可能性を拡げる役目を担う大人として生徒と向き合うことを大切にしている。教員生活6年目(インタビュー現在2017年2月末)。桐生南高等学校3年生の担任であり、進路指導部として「未来の教室」の実施を調整していただいた。※翠巒祭とは群馬県立高崎高等学校の文化祭の名称。

■“目の前に見える”進路だけではなく、その先にある“見えづらい”人生に対して-
■“目の前に見える”進路だけではなく、その先にある“見えづらい”人生に対して-

―――本日はよろしくお願いいたします。まずは、「未来の教室」の導入するきっかけについてお伺いします。特に今回は、進路が決まった3年生に向けて、卒業間近の12月に実施したわけですが、先生としてはどのような想いがあったのでしょうか?

 

浅岡先生 本校では例年、専門学校や大学の推薦入試などで早い段階で、卒業後の進路が決まっている生徒が一定数います。

 

そんな「進路」が決まった生徒は、目の前の目標がなくなってしまい、残りの高校生活を何となく過ごしてしまう現状にありました。一方で、まだ大学入試を控えている生徒は、最後の最後まで「進路」に向かい合わなければならない。

 

同じ学校に通って、3年間一緒に過ごしてきた高校生でも、“進路”という目標が達成されるか否かで、同じフィールドにいるけど、一人ひとりの環境が少しずつ変わり始めてしまいます。変わり始めること自体は、決して悪いことではないですが、クラスや授業に対する微妙な温度差やズレが生じてしまい、それまで通りには、なかなかいきません。

 

―――確かにそれまで“進路決定”という共通の目標に向かっていった高校生が、それぞれの目標を達成するタイミングが違うことで、それまでのクラスや授業の雰囲気とは違ってくるのかもしれませんね。

 

浅岡先生 そんな状況の中で、進路が決まっていない生徒は最後までやり抜くことが大切でしょうし、進路が決まった生徒も残りの高校生活を「何となく」過ごしてほしくはないなという問題意識がありました。

 

私は、生徒にとって、高校生活においてのゴールが“受験”だけではなく、“社会を生き抜く力”を身につけていくことだと思うんですよね。

 

だからこそ、人生の次のステージに向かうための準備期間である貴重な残りの高校生活を、どう主体的に過ごしていくのかについて考え、行動に移せるような機会が必要だという想いがありました。「何となく」で過ごす残りの高校生活を見直して、今できることに向き合える時間をつくりたいと考えていたんです。

 

―――でも、ある意味で、高校生の“進路決定”という目標が達成されたのであれば、先生としての仕事は一区切りになりませんか。正直、そこまで取り組む必要はあるのでしょうか?

 

浅岡先生 そうですよね…。でも高校生の彼らは、高校生活が終わっても、生きていくので。そんな彼らが“生き抜く力”を身につけられるかどうかまでが、教育の役割なんじゃないかと思っています。

 

極端な話、受験を突破する力だけを育むのであれば、学習塾や、それらに特化した動画を見ればいいかもしれません。でも、それだけではなくて、学校という共同生活の中で、これから先も生き抜いていく力を身につけるためには、教員である私も、彼らの先を見据えながら、関わっていくことが大切なのではないかと。

 

―――浅岡先生が、そういったことが大切だと思い始めたのはいつころからなのですか?学校の先生として働き始めてすぐに思ったのですか?

 

浅岡先生 いや、最初からそう思っていたわけではなかったと思います。ただ、「知識だけを持っていても意味がない」と、漠然とは思っていました。たとえば歴史において、国際的に開かれた会議の名前と年号だけ覚えていても意味はない、と。なんでその会議が開かれたのか、その後、社会的にどんな変化があったのかを考えることや、そこから得た気づきだったり、考えたり、説明したりという経験を、これから先の人生に活かしていくことが大切だと考えていました。

 

一方で、センター試験がなくなったり、“アクティブラーニング(主体的・対話的で深い学び)”や“21世紀型スキル”が必要とされ、社会の変化に対して学校教育も変わっていく中で、元々抱いていた問題意識と、いま社会で必要だとされること重なってきていることを感じていました。

でも、それを日常の授業に、どうつなげていくのかについてはすぐ取り組むことはできませんでしたが…。

 

―――そんな問題意識を持ち始めた中での「未来の教室」の実施だったわけですね。

 

浅岡先生 そうですね。高校生の彼らは、目の前の見えているものに対しては頑張れるかもしれないけれど、合格して進路が決まってしまうと、その先って目に見えないから、なかなか頑張りづらい。私も、目に見えることに力を入れがちですけれど、目に見えづらいことに対してどう力を入れていくかも大切。・・・でも、正直難しいところです。

 

そこで、目の前に見えているものだけではない、もう少し広い目で、もう少し先の自分の人生を捉えなおすために、高校生よりも年上の人たちと話せる場があったらいいなと思っていたところで、今回の実施に至りました。

■周りも改めて頑張り始めるようなきっかけに-。
■周りも改めて頑張り始めるようなきっかけに-。

――そんな高校生に対しての浅岡先生の想いから実際に届けることができた「未来の教室」でしたが、当日の感想はいかがでしたか?

 

浅岡先生 ぶっちゃけて言うと、ホッとしましたね(笑)

 

――ホッとしたのですね!ホッとしたというのは、どういうことですか?

 

浅岡先生 ホッとしたっていうのは、新しい試みをした後に常にある感情ですね。普段の授業でも思うことですが「アイデアや思いを形にして、とりあえず実行まではできたな」という気持ちです。企画として打つことはできたというか。そこから生徒に響いて行動に変化がないとダメなんですけど、思いやアイデアだけあったとしても打たないことには響くことは決してないので。
初めての取り組みでもあったので、生徒が受け入れられるかどうかも気になっていました。でも、スムーズに受け入れていましたね。生徒もいい表情していました。

 

――「未来の教室」が終わった後に、事後授業として、生徒のみなさんも自分の高校3年間を振り返って、これからどんなことを頑張りたいのかを自ら「語る授業」を実施されましたよね。その反応はいかがでしょう。

 

浅岡先生 結構、できていましたね(笑)生徒たちが自分のことをちゃんと語っていて、嬉しかったです。

 

――浅岡先生自身が、語りを聞く中で、生徒のみなさんに対して気づいたことはありましたか?

 

浅岡先生 ありましたね。意外と自分のこと、そう捉えているんだな、とか。たとえば「自分に自信がない」・「自分は引っ込み思案」など、意外と生徒が自分自身をネガティブに捉えているんだなと知りました。そんな風に見えないのにな、って。

 

でも「未来の教室」でセンパイから赤裸々に話してもらったこともあって、生徒たちもかなり前向きに語っていましたね。「何だ、いい顔して喋れるじゃん!」・「もっと喋んなよ!」って思いました(笑)

そう喋れたのもきっと、生徒同士が安心してお互いに喋れる雰囲気になっていたんだと思います。外から見ていた私としても心温まる光景でしたね。

 

――実際に「未来の教室」を経て3ヶ月ほど経ちましたが、その後、生徒のみなさんにどのような変化がありましたか?

 

浅岡先生 変化、ありましたね。
作業療法士になりたいと言っている生徒が、手話を勉強し始めたんです。自分で本を買って、黙々と勉強し始めました。あと、理学療法士になりたいと言っている生徒は、元々、生物や生体に強い関心があったのですが、専門書を買って高校の勉強を超えて勉強し始めました。2人ともすでに進路は決定していましたが、改めて、自分のやるべきことやなりたい姿を見つめ直して行動に移せたのかなと思います。

 

あと、すごく印象的だったのは、そういう風に取り組み始めた生徒を、他のまだ進路が決定していない生徒が見て「最近、〇〇頑張っているよね」と、周りも改めて頑張り始めるきっかけになっていたことですね。

 



10年後を幸せに生きるための授業のつくり方。-浅岡祐平先生インタビュー(2/2)へ続きます。

 

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