【開催レポート】&people002~黒田朋子さんに学ぶ “ライフサカス”な生きる姿勢と、そのアクション

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【開催レポート】&people002~黒田朋子さんに学ぶ “ライフサカス”な生きる姿勢と、そのアクション

2017.11.25 活動レポート

2017年6月20日(火)に、「& people002」を開催しました!

 

■&peopleとは?

「つながりの、はじまり。」をコンセプトとした場。様々な世代・フィールドの人たちと出会い、関わることを通じて、日常では気づかない社会の面白さに出会う場を届けています。

 

第2回のテーマは「黒田朋子さんに学ぶ “ライフサカス”な生きる姿勢と、そのアクション」
ゲストは、株式会社ライフサカス共同創業者/デザイナーの黒田朋子さん。

約6組に1組ものカップルが「産めない」悩みを抱える日本。黒田さんらライフサカスは、「母になりたい女性が、みんな母になれる社会」をつくることを目指し、様々なプロダクト&サービスを生み出しています。

■「急病」と「産む?産めない?」-急に覆いかぶさる現実
■「急病」と「産む?産めない?」-急に覆いかぶさる現実

【紹介】黒田朋子さん 株式会社ライフサカス共同創業者/デザイナー
京都市立芸術大学大学院美術研究科環境デザイン専攻修士課程終了(在学中にNova Scotia College of Art and Design交換留学)。株式会社イシマル、有限会社キュリオシティにてOMA、プラダ、コムデギャルソンなど、インテリアデザイナーとして 国内外のブティック、レストラン、家具、アートディレクションを含めた多くのプロジェクトに携わる。2009年QUAILS設立、フリーランスデザイナーとして活動開始。2011年、大病を機に「今日1日を楽しく生きる」ことの大切さを思い知る。今日が人生で最後の1日だとしたら自分ではない誰かのために在りたいという思いから、株式会社ライフサカスを共同創業。

高校卒業後、建築学科で空間デザインを学び、インテリアデザイナーとして精力的に活動されてきた黒田さん。結婚し、仕事で独立を果たした矢先の2011年5月、突然「急性骨髄性白血病」を宣告されます。

 

黒田さん 風邪かな?と思って診てもらった病院の先生に、「急性骨髄性白血病の疑いがあります。今すぐに大きな病院へ行ってください」と言われ、その日からほとんど外に出ることができない怒涛の闘病生活が始まりました。「ウソでしょ?何かの間違いに決まってる。」と・・・当時は自分に何が起こっているのか、きちんと理解できない状況でした。

 

いままで当たり前に出来ていたこと・・・友だちに会うこと、外に出て風にあたること、ペットボトルに口をつけて飲むこと、歯を磨くことなどが制限される中で、「選択肢がないことは、これほどまでに辛いことなのか」と思うようになります。

 

また同じくして突如、「不妊」という現実も突きつけられてしまいます。

 

黒田さん 抗がん剤の治療を始めるにあたって、同意書にサインを求められることになりました。当時はいろいろと説明を受けても頭に入ってこない状況で、自分で名前を書いて同意したかさえも覚えてないくらいでした。でも、はっきり覚えているのは、同意書の下の方に書かれていた「不妊」という文字です。

もちろん病気に関する標準的な説明は受けましたが、子どもを授かれなくなるのか、可能性はあることなのかについての詳細な説明はありませんでした。その後、治療を受けながら、闘病ブログや各種論文を病院で漁るように調べて知ったことは、女性でおそらく自分と年齢が近いであろう方たちがこぞって妊娠は不可能である状態だということ。さらに徹底的に『白血病、骨髄移植、妊娠』などのキーワードで妊孕性(にんようせい:妊娠のしやすさのこと)について調べて、「卵子凍結保存」という方法を知りました。これによって将来子どもを授かる可能性を残せるのではないかと思いました。


治療を受けていた病院ではなくて、その周辺で実施できるクリニックを自分で調べて、病室からメールで自分の病気・症状について説明して、クリニックの了承を得ることができました。そんな一連のやりとりや自分の想い・憤りについて白血病治療の主治医に訴えたら、「でも生きられるから良いでしょう?」と言われ、憤りを感じるとともに絶望しましたね。

 

「生きるか死ぬか」という自分の生に向き合わざるを得ないことと、「産む?産めない?」に対して自分で積極的に情報を掴み取りアプローチしなければ手遅れであったことの、2つの事実-。

 

そんな事実に真正面から向かい合ってきた黒田さんに、ある想いが生まれます。

■「生かされてる命」を誰かに、何かに使おう-。

強い抗がん剤治療によって意識が朦朧とする日々が続く中で、たとえ生き延びられても子どもも授かることが出来ない現実に対して、生きる希望やしんどい治療をする意味を見失ってしまう-。

そんな黒田さんの気持ちが、少しだけ、ほんの少しだけ変わっていたのは、“刺繍作品づくり”だといいます。

 

黒田さん 正直、私には人生の選択肢がもうないのだというくらいの深い絶望を感じていました。病室を無菌状態に保つ必要があるので病室の窓を開けて外の風にあたることもできない、ペットボトルに口をつけて呑むことも出来ない、そんな数々の制約がある中でできることは“刺繍作品づくり”でした。

たまたま妹が持ってくれた刺繍作品の本に出会って、没頭し始めました。当時は、将来への不安や、そもそも病気が治るのだろうかという思いが頭の中を駆け巡っていたので、何も考えずに何かに没頭したかったんです。

元々、デザイナーとして仕事をしていたこともあって、ものづくりをすることは私が好きなことでした。そうして少しずつ作品が出来始めた頃、フェイスブックで写真をあげてみたり、友人がオンラインストアのウェブサイトをつくってくれて公開していたら、それを見た友人たちが「欲しい」といってくれたんです。

その出来事が、病気を超えてまた前の場所(=それまで通りの生活)に戻りたいと思うことにつながった、私にとってのブレイクスルーでした。

 

“刺繍作品づくり”を通じて、変化していった黒田さんの気持ちにもう一つ大きな出来事がありました。

 

黒田さん 正直、骨髄移植の治療については、順調ではありませんでした。移植日決定まで何度もキャンセルやトラブルがあり、移植自体、諦めねばならない状況が続いていて・・・。しかし状況が一転、受けられることになりドナーさんから、本当に受け取ったと感じる「あたらしいいのち」。それとともに、「生かされる」・「生かされた」・「生きるチャンスをもう一度もらった」と強く感じるようになりました。


「生かされている」人生のありがたさ
、その重みを考え続けるようになり、「何かのために」生かされたのではないかなと思うようになりました。生かされた理由がきっとあるはずだと。


名前も顔もわからさないドナーさんに直接的に恩返しすることは出来ない中で、「自分ではない誰かのために役に立つ人生を送りたい」、そんな気持ちが芽生え始めました。

 

■「病気になって良かった」なんて1ミリも思っていない。…でも-。

そうした一連の出来事から生まれた「生きる希望を生み出し続けたい。人生を咲かそう、ライフサカス!」という黒田さんの想いと生きる姿勢、そして取り組み始めたこととは何なのでしょうか。

 

黒田さん 病気が落ち着いたからといって「病気になって良かった」なんて1ミリも思っていません。病気にならないで済むのであれば、その方がいい。一方でがんのサバイバーだからといって、「こんな経験がありました」と言って、いつまでも「大変なことがあった人」のように腫れ物扱いもされたくありません。


そんな時に、今の仕事のパートナー(西部さん・前橋出身)に出会います。元々、親交のあった旦那さんから彼女が病気になったことを聞いていて、彼女が少しでも前を向く力をシェアできたらという思いでやり取りがはじまったのがきっかけです。


西部とは、お互いに「この経験を活かして、誰かの役に立ちたい」という気持ちがあり、さらにバックグラウンドは異なるけれど、「不妊」に関するサポートレスな日本社会の現実、疑問点、そしてそれらが「改善されるべきこと」という認識も共有でき、初めから通じ合える部分が多くありました。


そして、「私とさおりちゃん(西部さん)は良いチームになれると思う」と、ともに取り組み始めたいことを告げました。お互いの力を合わせることで「どんな状況にあっても(病気でなくても)困難に遭った時に、少しでも支えになるプロジェクトがつくれるのではないか」という考えの下、「自分ではない誰かのために」・「前を向いて生きていく力」を創ることにつながると信じて立ち上げたのが、今の会社であり、仕事です。

 

 

そのような想いを持ち、現在、黒田さんは「命・人生を咲かす」と「ライフ・イズ・サーカス」という2つの意味を込めた株式会社ライフサカスを立ち上げ、「UMU」【不妊、産む、産まないに向き合うすべての女性たちへ。未来をともに育むメディア】の企画・運営や、近日リリース予定の「GoPRE」【世界初!不妊治療サポートサービス/治療ログアプリ】の企画・開発を精力的に行っています。

 

ここだけでしか聞けない「UMU」のインタビュー記事の秘話や、リリース予定の「GoPRE」の構想、そして「不妊」を起点としたキャリアに対する取り組みについてお聞きする時間となりました。

■「病気になって良かった」なんて1ミリも思っていない。…でも-。

そんなお話を聴いた後は、参加者のみなさんとのフロアトーク。それぞれ普段感じていることを話しながら、じっくり対話する時間となりました。

 

《参加者のみなさんの感想(一部抜粋)》

●「選択」は、その人の生き方に直結。日常のムダなこと・ささいなことの点と点を結ぶことで発見がある・気づく!「楽しく」「好きになる」ことで人生を豊かに!

●話の1つ1つがまさしくおぉーと感じることばかりで本当に運命を感じました。

●人のせいにしない。自分の人生は目が覚めたら始まって、目を閉じて眠ったら終わる。人生に無駄はなくて、その時はすごく辛くて何が何だかわからなかったとしても、前を向いて生きることが大事。

●自分を閉じ込めたり、傷つけたりする自分からちゃんと変わりたい。

●ついつい“宿題”から目を背けがちだけれど、向き合って、楽しみつつ、乗り越えていこうと思いました。

●何だか最近、もやもやしているといるか、閉塞感があるというか、楽しくないと思っていました。そんな中、箱の外に向かう、楽しいもの探しをするというのはまさに自分ぴったりのトピックでした。黒田さんのおっしゃった意味のないと思える点を羅列して結んでみること、そこから何か見えるかも、見たいと思いました。

 

 

 

そして、実はこの「& people」の次の日、「ライフデザイン講座」にて、高校生に黒田さんの経験談をありのまま話していただく授業を行いました。誠実で、率直な黒田さんの関わりと対話によって、思わず溢れる高校生たちの気持ちや考えをお互いに受け止めあう姿が印象的な授業に。

「じぶんの人生を、生きる。」一見シンプルに感じられる大切なことを大切にしようと、この授業の後の高校生の様子を見ると、自分自身の生き方に向き合い、行動を起こし始め、深い深い学びを得ている時間を過ごしているように思います。

黒田さん、ご参加のみなさん、ありがとうございました!

 

 

【黒田さんの活動はこちらから】

■「株式会社ライフサカス」  http://lifecircus.jp/

■「UMU」  http://umumedia.jp/

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