高校生に語りかけた言葉は、私にとっても大切な言葉だったーセンパイインタビュー001 | NPO法人Design Net-works Association

高校生に語りかけた言葉は、私にとっても大切な言葉だったーセンパイインタビュー001


DNAが群馬県内の高等学校に通う生徒に向けて届けるキャリア学習プログラム「未来の教室」。

 

「未来の教室」は、主に群馬県に在住の大学生・社会人ボランティア(センパイ)によって、高校生に届けられています。

センパイとして参画するために、事前研修などを通じて、自らの人生を棚卸、センパイ同士で対話をしながら、自分自身の原点や原動力についても触れていきます。センパイ自身が「自らの内発性」を確認する経験を通じて、プログラム当日に向かい合う高校生の「内発性」を引き出しながら、1歩目の行動を後押ししていきます。

 

「未来の教室」に欠かせない存在のセンパイ。

今回は、過去2回の「未来の教室」に参加していただいた“まどちゃん”にセンパイになったきっかけ・経緯や、実際やってみての経験について、代表理事の沼田がお話を伺いました。

 

 

 

 

■ ■ ■

【紹介】「まどちゃん」は高校生から呼ばれるニックネーム。沖縄県石垣島出身、結婚を機に群馬に移住。初めてセンパイとして「未来の教室」を届けたのは、群馬にやってきてから2カ月ほど経ったころ。元々、石垣島では“平和学習(平和について後世に引き継ぐための学習)”を中心とした学芸員の仕事をしていた。

 

■センパイとして参加を決めた2つの気持ち

―――よろしくお願いします!まずは、これまで2校、センパイとして高校生に携わってきたまどさんが「未来の教室」に参加することになった経緯を教えていただけますか?

まどさん 私が「未来の教室」に参加してみたいと思ったのは、2つの気持ちからでした。

1つめの気持ちは、「外に出ていきたいな」という気持ちです。元々、沖縄県の石垣島で学芸員として働いていた私は、結婚を機に、群馬に引っ越してきました。縁もゆかりもない土地に引っ越してから1カ月くらいは旦那さん以外の人と話さない生活だったので、正直しんどくて、つらくて…(笑)

まだ働いてもいなかったし、過ごしている街のことも知らないので、午前中に家事を終えたら、一人で車に乗りながら街をウロウロする生活でした。

その時は、“誰が悪い”わけじゃなかったけれど、知らないうちに自分の気持ちは塞ぎ込んでしまっていました。そんな生活の中で「つながりがほしい」・「外に出たい」という気持ちの時に、元々DNAについて旦那さんから話を聞いたことと、しょうちゃん(代表理事・沼田)から「未来の教室」について話を聞いて、センパイとして参加することを決めました。

 

―――そうだったのですね(笑)

まどさん そうだったんです(笑)2つめの気持ちは、単純に「面白そう」という気持ちです。

石垣で学芸員として働く前に、中学校で教員として働いた経験もあったので、社会とつながる機会を高校生に届けることは学校でも必要なことだと思っていたんです。

でも、それを学校でやる難しさも何となく感じていたから、学校じゃない団体がどのようにアプローチしていくのかにも興味がありました。

 

■たくさん振り返って、これまでの経験のつながりを実感-。

――。「未来の教室」当日までに、事前研修を行いましたが、まどさんにとってどのような機会になりましたか?

まどさん 事前研修では、自分のことをたくさん振り返って、これまでの経験のつながりを実感したように思います。

正直、石垣での学芸員の仕事は、すごくやりがいがあって、興味もあって、ずっと携わり続けたいと思える仕事でした。でも、自分にとって大切だった仕事を一度離れて、立場も所属もなくなってしまった私が、群馬に来てからずっと思っていたことは「自分って何なのだろう…私には何もない」ということでした。

だから、その当時は、初めて関わる人が多い場ほど、自己紹介できない苦しさも感じていました。

そんな気持ちの中で参加した事前研修は、「目の前の今」と「少し前と先のこと」で精いっぱいだったそれまでの私に、高校時代のことを含めて自分の原点になる経験や気持ちを思い起こしてくれたものでした。

 

――確かに一生懸命取り組んできた目の前のことがなくなって、新しい環境に飛び込むと、それまでの自分の存在意義を感じられなくなりそうですね。

まどさん そんな気持ちで参加していたのですが、研修で私の話をわかろうと、一緒に参加していた大学生のみんなが耳を傾けてくれたことが印象にとても残っています。

私がしてきた仕事の話…たとえば平和のこと、戦争のこと、沖縄のことについて、「難しいですね」ではなくて「そうなんですね」とか「こういう経験があるから、こんな風に思っているんですね」って、私の気持ちや話に応えてくれたことが、とても嬉しかったんですよね。内容はわからなかったかもしれないけれど(笑)、

そんな風に、センパイ同士で話し合ったり、質問し合うことを通じて「あぁ、そうだそうだ。高校の頃の私は、こんなことを感じていたり、こんなことで悩んでいたんだ」って、自分の原点になる経験や気持ちを振り返ることを出来た気がします。

 

自分のことに、誰かが向き合ってくれることが、すごくありがたかったです。

 

 

■高校生に語りかけた言葉は、その時の私に必要な言葉だった

――研修を通じて高校生に語る準備をし、いざ高校生に関わったわけですが、当日はどのような気持ちで参加しましたか?

まどさん いざ、当日に高校生を前にして、語ろうとしたときには、葛藤がありました。今の自分自身が抱えている葛藤や悩んでいることを伝えていることが、果たして高校生にとってよいものになるのだろうかと。

でも、研修を通じて「大人も、高校生と同じように悩み、考え、行動している姿を率直に語るのが、高校生にとっての勇気づけになる」と言われて、「あぁ、いいんだ」って。

もちろん実際に語るとなると、表情を見ながら言葉を選ぶのは、苦労しましたが(笑)

 

――心掛けていたのは、どんなことですか?

まどさん 自分自身が心から感じていることでないと、高校生に心から伝えていることができない。当たり障りのない言葉ではなくて、「わたし」だから伝えられる言葉を大切にしました

 

そう考えると、センパイとして高校生に向けた言葉は、それまでグズグズしていた自分にも必要な言葉だったと思います。

 

 

■未来を創り出すことをまさに体感しているその後の生活

――センパイとして参加して、まどさんにとって変化したことはありますか?

まどさん 実際にセンパイとして参加してからの変化としては、子ども向けの学習塾の仕事をするようになりました。元々、教育に関心もあったし、自分自身でも何か行動に移そうと思って、選んだ仕事です。

学習塾の仕事はやりがいもあって、大変(笑)でも、子どもたちから話を聴いたり、わかるようになるまで手伝ったり、子どもと関われている時間は、私にとってすごく大切です。

あとは「本業」という形ではありませんが、ご縁をいただいて群馬の高校で修学旅行の事前学習(※)に、講師として“平和学習”についてお話をする機会をいただくようになりました。

(※)群馬の高校は、修学旅行に沖縄に行く高校が多い

 

仕事の合間を縫って、事前学習の準備をすることも大変ですが、以前勤めていた平和祈念館から写真を取り寄せて「この写真よりも、この写真がいいかな?」とか「こう伝えた方が、より高校生が身近に感じるかな?」とか、そう考える時間が、すごく幸せです。

 

――仕事にも、自分の関心事にも取り組むようになったんですね。塞ぎ込みがちだった以前の気持ちから、変わったことはありますか?

まどさん 気持ちの変化は、うーん…明るくなりました…未来が(笑)

群馬での生活を始めた頃は塞ぎ込んでいた私ですが、今は「自分から動き出すことで未来を創り出すことができる…それは大人になったいまの私も、感じられているんだよ!」ということを感じながら生活しています。

 

 

 

■「未来の教室」とは、「自分と向き合うこと」

――最後に、まどさんが考える「未来の教室」とは、どんな機会でしょうか?

まどさん 私にとって「未来の教室」は「自分と向き合うこと」です。未来を創ったりするためには、自分と向き合い、まずは自分を肯定していくこと。「未来の教室」は、高校生にとっても、センパイにとっても、それができる場所だと思います。

事前研修でもセンパイ同士が、当日の現場では高校生とセンパイが「想いを伝えること」と「受け止めること」、その2つのやりとりがあってこその「未来の教室」だと思います。