【キャリアインタビュー#1】「いまここで、やるべきことを全力で!(後編)」 | NPO法人Design Net-works Association

【キャリアインタビュー#1】「いまここで、やるべきことを全力で!(後編)」


■大事なことは節目で歩んだ道を振り返り、前を向いて歩きだす

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ーキャリア設計で大切なことはどんなことでしょうか?

大宮先生:節目節目で今、自分が何をやっていて、何が得意で、何が不得意で、何をやりたいのかを考えることです。何がやれなかったのかっていうのかを振り返って、これから何をしたいのかっていうのを考える、それがキャリアなんです。今まで全然やってこなかったとんでもない夢を突然思いついてもなかなか実現できません。キャリア形成は、今まで生きてきた道(轍)を踏まえて考えます。今まで生きてきた道の中で、自分が全然やれなかったことではなくて、今まで自分が歩んできた道の中から未来を考えるということが必要だと思います。

たとえば、みんながやっていると思うけれど、正月に、前年の1年間を振り返り、今年一年間、新たな気持ちで頑張る目標を3つ立ててみるというようなことが、キャリア形成の基本なのだと思います。

ーでは、今まで自分がどうだったかを考えるときは、どんな振り返り方をしてみるといいのでしょうか。

大宮先生:振り返り方はいろいろあります。中学や高校生活で、一年間終わった3月に、1年間の出来事を振り返って、勉強面、生活面、部活などで頑張ったことは何か、やろうと思ってできなかったことは何か、どんな人と出会って、どんな影響を受けたのか、初めて出かけたところはどこか、等を振り返ってみます。

大人であれば、仕事ではどれだけ目標通りになったのか、どんな成果を出したのか。また、自分の家庭の中での役割はどうなのか。あるいは、社会的な場面(仕事や家庭以外)でどれだけ信頼できるつながり、ネットワークをつくれたのかということでもいい。

また、別の視点からいうと、予定したことがどれだけ予定通り実現できたかという振り返りもあるし、逆に、自分が全く予定していなかった出来事がどれだけ発生し、どんな影響を受けたのか、という振り返りも面白いかもしれないですね。生きていると予想外のことはたくさん起きて、むしろ予定されたこと以外の出来事のほうが自分の人生の豊かさにつながったりしますので。

■いまここで! やるべきことを全力で楽しみながら続ける

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【写真】大宮教授の講義風景。(大学院地域政策研究科の演習にて撮影)

ー節目にキャリア設計とか目標を考えるというのはできるだけ若い年齢からやったほうがいいのでしょうか?

大宮先生:学生の時、僕はあんまり考えてなかったな。そういうの(笑)。漠然とは考えていたんだろうけど。社会人になって仕事を始めてから考えるようになりました。僕はあまり計画的に生きてきた人間ではなくて、ぶっつけ本番、流れにまかせて、時には面白そうなところに出向いてみてというようにやってきたところがありますね。

どっちかって言えば、成り行き任せですが、社会人になってからはどうもそれではだめだなって思いだしました。やっぱりお金もらって事業を任せられると、成果を一つの形にしなくちゃならないので、そこはプランニングをしっかりして、スケジュールを立てて、健康管理もしっかりやって、一週間やったこととやれなかったこと、来週やること、そして、一か月、半年、1年、3年、5年などの計画も含めて考えるようになりました。

自分のことを振り返ると、今の中学生と高校生にアドバイスをするとしたら、あまり真面目にプランニングしないほうがいいのかなとも思います(笑)。高校生の時になりたいと思った職業に就いた人は2%だったという調査結果もあります。社会の中の仕組みがあまり分からないまま、中高生がライフプランニングを真面目にするということは、なかなか難しいなって思いますよね。

たとえば、中学生の場合だと計画的に生きることよりも、“Now & Here!”(いまここで!)の精神の方が大事です。勉強でもサークルでもあるいは趣味の世界でも、今やりたいことや目の前のことにできるだけ前のめりに一生懸命やった方が自分の財産になります。失敗も色々もあるし、思い通りにならないこともあるけれども、目の前のことをすっと流すよりは今ある自分のいろんなこと、やりたいことを一生懸命やった方がいいです。

そして、できるなら継続したほうがいい。継続は力なりです(笑)。なぜ継続したほうがいいかっていうと、それがやっぱり自分の自信につながるんです。中学生や高校生って何が自分にとっていいのか、社会の中で何が起きているのかということがなかなか見えにくいと思います。見ることができる世界って限られています。
だから、今取り組んでいる部活とかサークルとか趣味を続けて小さな成功体験を積み重ねて、これが自分の大事なものなのだと気づくと、自分の信頼感につながる可能性がある。みんな中途半端だと、自分はなにもできないという自己否定感につながるので、頑張ればなんとか乗り越えられるという自己信頼感を何らかの形で作ってほしいなと思います。

僕は中学、高校でバレーボールやってきました。インターハイに出るような強いチームの副キャプテンをやっていました。6年間相当大変な練習をして、大変なトレーニングを続けてきたことは、やりきってきてよかったと思うし、自分にとってすごく自信になっています。部活で頑張って得た自信が、勉強でも、仕事でも、色々な社会活動をするときも、そこで粘っこさをもって、簡単にはへこたれないぞという姿勢が生まれました。そういうことが大切だと思います。

■閉ざす必要はない!

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【写真】大宮教授の講義風景。(大学院地域政策研究科の演習にて撮影)

ー学生のうちは社会人みたいに何もかもプランニングするというよりは、目の前のことや、やりたいことをしっかりやって、それを継続して自信にすることが大切なのですね。

大宮先生:そうですね。粘って自信をつけることですね。そしてもう一つ大事なことがあります。機会があれば、色んな人と出会うこともとっても大事です。日ごろ行かないところに誘われた時には、行った方がいいです。一つか二つ、自分が粘っこく夢中になってやっていることを持ちながら、普段全然関係ないところに誘われた時に、全然興味がないから行かないのではなくて、できたら行った方がいいですね。何に出会うかわからないですからね。意外と興味のないイベントに行ってみると、そこで本当に自分がやりたいことが見つかることもある。だから、閉ざす必要はないのです。好奇心が自分を成長させます。

キャリア研究者であるグランボルツの理論「計画された偶然」ではないですが、ほんとに自分のこれまでの人生を振り返っても会う予定のなかった人と出会いが、自分の人生を大きく変えています。たまたま偶然出会った人とのネットワークが自分の人生を広げているっていうことが、たくさんありますよね。だから、閉ざす必要は全くないのです。

ー最後に、先生がこれから挑戦してみたいことは何ですか?

大宮先生:もうすぐ定年なので、40年間勤め上げた大学「教授」としてではなく、ひとりの「市民」として、頑張る若手のメンバーをサポートしたいと思っています。退職しても、次世代の支援を続けていきたいと思っています。

あとは、私はスキーを蔵王で習得したのですが、スノボーはやらなかったので、挑戦してみたいです。ちょっと無理かな?(笑)

■おわりに

この取材を通じて一番印象的だったことは、目の前のことに取り組むことの大切さです。取材させていただいた私たちは現在大学3年生ですが、これからライフキャリアを形成するための就職活動が始まります。しかし、内定を得ることがゴールだと思わずにその先のことも考えて、よりよいライフキャリアを形成していきたいと思いました。

そして、これから就職活動だけにとらわれるだけでなく、「いまここで、やるべきことを全力で楽しみながら続ける」ことも大切にしたいと思います!最後に、お忙しいところ取材させて頂いた大宮先生、本当にありがとうございました。

(インタビュー・文=海川、大澤、加藤)

(撮影=加藤、須賀)

<大宮登さんのプロフィール>

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<略歴>

1951年6月、山形市生まれ。高崎経済大学卒業、慶應義塾大学大学院社会学研究科修了(社会学修士)。短期大学教授などを経て、1996年から高崎経済大学教授に着任。

<研究テーマ>

社会学を基礎として、組織における実践的な能力開発や人材育成の在り方、さらにはキャリア設計に関して、研究している。併せて、その理論を地域活性化に応用し、地域に根ざした住民主体の参画型地域づくりや、大学を核とした地域活性化の理論と手法、その教育実践についても研究課題としている。

<業績・社会活動>

最近の著書や論文は、「産学官民協働による地域政策と自治体職員」月刊『ガバナンス』2015年4月号(2015)、『景観法と地域政策を考える』勁草書房(2014)、『キャリアデザイン講座第2版』日経BP社(2014)、『実践キャリア考』実教出版(2013)など。地域活性学会会長、日本地域政策学会長、全国生涯学習ネットワークフォーラム実行委員長(文部科学省)、若者社会活動支援NPO法人Design Net-works Association(DNA)代表顧問、一般社団法人高崎食品リサイクルループ協議会会長、日中友好桜プロジェクト会長など。